自転車用 サドルバック の作り方 ~型紙公開~
こんにちは。みどりです。
今回のレザークラフトは自転車の座る部分の下に取り付けるカバン( サドルバック )を作りました。 作ってみての反省点を記事にすることで、参考になれば幸いです。
目次
リュックを自転車に持たせたい
自転車を漕ぐときにリュックを背負っていると、背中が汗で濡れて不快だよ~。どうにかしたいな
リュックを自転車に持たせればいいわ。 サドルバック というアイテムがあるわよ。
早速、レザークラフトでつくろうぜ。
私は普段スポーツタイプの自転車であるクロスバイクに乗っています。
しかし、この自転車にはママチャリでは標準装備の前カゴがついていないです。そのため、荷物はリュックに入れて運んでいます。
しかし、リュックを背負って自転車を漕ぐと、背中から汗がでてベタベタしてしまうので、困っていました。
この状況を解決すべく、市販の サドルバック を見本にしてレザークラフトで サドルバック をつくりました。
これが完成品です。
自転車に乗るときは、この サドルバック にリュックを入れることで背中をフリー状態にして走る計画です。
実は、この作品の前に布製で サドルバック 機能を備えたリュックをつくったことがありました。
どういうことかというと、構造的にリュックの前面と底にあたる部分に自転車に固定するためのベルトを縫い付けたものです。
使ってみると、リュックを背負わなくて自転車を漕げたのは快適でした。
しかし、コンビニに寄るたびにリュックを自転車から取り外さなければならなくて、すごく不便でした。
次作るときは、リュックと サドルバック の機能は別々にしようと反省しました。
サドルバック の制作意図
以前作ったリュック兼 サドルバック での反省を踏まえて、今回制作するサドルバックには以下の機能を持つように作りました。
○ サドルバック にリュックの機能はつけない
〇 走行時に外れない強度にする
〇 自転車から取り外した時にかさばらない様に折り畳むことができるようにする
〇 黒い自転車に取り付けても違和感ないデザインにする
〇 荷物が多少増えても対応できるような余地を持たせる
〇 自転車につけっぱなしにはせずに、乗る前に取り付けその日の走行が終われば外す
〇 雨の日は走行しないので、防水対策はしない
反省
実際に作ってみて、以下のような反省点がありました。
○ 背面パーツ用の革の大きさが足りなかった
作っている途中で大きさが足りないことに気づいて、慌てて2枚の革を接いでしのいだ。作り始める前にしっかり確認しておけばよかった。
前準備
型紙つくり
サドルバック の型紙はお絵描きソフトのGIMP で書いてから、印刷した紙で組み立ては書き直しというのを何度か繰り返してつくりました。
そうやって、納得した型紙にが完成してから革で作り始めました。
サドルバック の構造説明
制作の様子を紹介する前に、今回つくる サドルバック の構造をイラストで説明します。
全体構造は以下のイラストの様に、
〇折り畳める様に側面パーツを4分割と前面パーツを2分割させて、それを組み合わせています。
〇 サドルバック を自転車に取り付けるには2か所のベルトで固定します。
・底パーツに取り付けた四角環とベルト(イラストでは黄緑色)でサドルを支える棒(シートピラー)に固定します。
・側面パーツにとりつけたベルトとバックル(イラストではオレンジ色)でサドル下の支柱(レール)に固定します。
(強度を高めるために、前面パーツにとりつけたベルト(イラストでは青色)を経由させることで支える部分を増やします。)
〇荷物を入れる開口部は布製にすることで、巻いて長さ調節できるようにし、それをバックルで固定する構造にして、荷物の量によって長さを変えます。
詳しい構造は下のイラストで示すように、5つのパーツでできています。
〇 前面パーツ
・折り畳めるように2分割(①、②)しています。
・開口部を巻いて閉めるためのバックル(メス)とそれを取り付けるためのパッチ部品を縫い付けます。
(バックルは力がかかりやい部分なので、万一の破損のことを考えて、補修しやすいよう本体に直接とりつけることはせず、パッチ部品をかませます。)
・固定ベルト2を支えるための支えベルトとそれを取り付けるためのパッチ部品を縫い付けます。
〇 背面パーツ
・メインの革一枚であり、そこに開口部を閉めるためのバックルとそれをとりつけるためにパッチ部品を縫い付けます。
〇 底面パーツ
・メインの革一枚であり、そこに固定ベルト1とそれをとりつけるためにパッチ部品を縫い付けます。
〇 側面パーツ
・折り畳めるように4分割(①、②、③、④)しています。これを左右分として2枚つくります。
・部品②に固定ベルト2を縫い付けます。(ベルト2はメスタイプのバックルをとりつけている方は短く、オスタイプのバックルをとりつけている方は長くしています。)
〇 フタパーツ
・布製の部品を4枚つくり、部品同士はバイアステープで繋ぎ合わせます。
サドルバック 制作の様子
それでは、 サドルバック の制作の様子を紹介します。
全体共通の部品制作
最初に、革の裏面にトコノールを塗って磨いておきます。
次に、型紙をコピー用紙に印刷してから切り出し、これを革の上において磁石で動かない様に固定します。
そして型紙の端を目打ちでなぞって革に軽く傷をつけることで型紙を転写しました。このときに縫い孔も目印をたよりに菱切りを刺して開けておきます。
あとは、転写した型紙の輪郭にそって革包丁で裁断しました。
切り出した革部品のうち、縫い代の折り目となる部分は彫刻刀を用いて少し削って溝を掘ることで折り曲げやすくしました。
パーツ制作
底面パーツ作成
最初に サドルバック の底であり、自転車に固定する部分でもある底面パーツを作ります。
まずは、自転車に固定するための固定ベルト1をつくります。
25mm幅のバイアステープを切ってから端をライターの火であぶってほつれ止めをしておきます。
そのバイアステープの一端にはマジックテープを縫い付けます。
反対の端は折り返して縫うことで四角環を取り付けます。
出来た固定ベルト1をパッチ部品に縫い付けてから、パッチ部品を底面パーツに縫い付けます。
固定ベルト1は自転車走行中に力がかかると考えられるので壊れやすそうだなと思うので、壊れたときに補修・交換しやすいように直接底面パーツに縫い付けないでおきます。
側面パーツ作成
次に側面パーツをつくります。側面パーツは4個の革部品を組み合わせて縫い付けます。
最初に部品①と部品④を合体させます。
縫い孔がズレない様に両端の孔に縫い針を刺して仮止めしておきます。
部品同士を縫い付ける方法は縫い目が外側から見えない縫い方である内縫いで縫います。そのためにオモテ面同士を向かい合わせて置き、端に接着剤(サイビノール600)を塗って接着します。接着剤が乾いて固定できたらあらかじめ開けて置いた縫い孔に糸を通して縫い合わせます。
これと同じ要領で部品①~④を合体させます。
部品②には自転車に固定するための固定ベルト2を縫い付けます。
固定ベルト2は12mm幅のバイアステープを切ってから端をライターの火であぶってほつれ止めをしておきます。
そのバイアステープの一端は折り返して縫ってバックルを取り付けます。
ちなみに、側面パーツの4つの部品が重なる箇所は四角い孔にすることで革が重なって厚くならない様にしました。
このような側面パーツを鏡像反転の形で右側面用と左側面用をつくります。
前面パーツ作成
次に、前面パーツをつくります。
前面パーツは二つの部品①と②を合体させます。
内縫いにするために革のオモテ面同士を向かい合わせて置き、端に接着剤を塗ってから糸で縫い合わせました。
そして、前面パーツには自転車に取り付けるための固定ベルト2を支えるための支えベルトを取り付けます。
支えベルトは25mm幅のバイアステープを切って端にほつれ止め処理を施したものです。
これも破損したときのことを考えて、前面パーツには直接縫い付けずに、パッチ部品に縫い付けてから、パッチ部品を前面パーツに縫い付けました。
また、前面パーツには開口部を閉じるためのバックルも取り付けます。これもパッチ部品をかませた状態で縫い付けます。
背面パーツ作成
続いて、背面パーツを作ります。
ここで誤算がありました。
背面パーツは一枚の革で作る計画でしたが、手持ちの革の大きさが足りないことが発覚しました。そこで、仕方なく2枚の革を繋ぎ合わせて目的の大きさにさせます。
2枚の革を接着剤と糸で縫い合わせて背面パーツとしました。
「わ~、なんで作り始める前に大きさが足りないことに気づかなかったのだろう。とりあえず、2枚の革をつなげばなんとかなりそうだからセーフかなぁ」
背面パーツには25mm幅のバイアステープを用いて開口部を閉めるためのベルトとバックルを取り付けます。
このベルトもパッチ部品をかませて縫い付けました。
フタパーツ作成
最後にフタパーツを作ります。
開口部を閉じるためのフタは巻いて閉める計画なので、革ではなく、デニム生地で作ることにしました。
デニム生地を4枚切り出してから、上端と下端は三つ折りにして縫ってほつれを防いでおきます。
横端はバイアステープで包む計画なので切り出したままとしておきました。
フタパーツの部品2枚の横端の内側をバイアステープで包んでミシンで縫い合わせます。これを2つ分つくります。
ちなみに、写真では手に持っている部品の縫い合わせかたは正しいのですが、机に置いてある方の縫い合わせかたは間違っていたので、やりなおしてバイアステープがデニム生地の裏面にくるように直しておきました。
「外側からバイアステープの赤色は見せたくないから、縫い付けを間違ったところは糸を取り外してやり直そう。う~ん、ミシンで縫ったものを外すのは面倒くさいけど仕方ないか。」
パーツ組み立て
底面パーツと側面パーツの組み立て
いよいよパーツ同士の合体をして サドルバック を組み立てていきます。
最初に底面パーツと側面パーツを合体させます。
ちなみに、合体させる順番を間違えると縫う作業の難易度があがるので、一番初めは底面パーツとその周りの合体を行います。
この部分の縫い方は、底面パーツのオモテ面の上に側面パーツを重ねて縫うことで縫い目が外側から見える外縫いで縫います。
底面パーツの端に接着剤を塗って接着してから糸で縫い合わせます。
底面パーツと前面パーツの組み立て
左右の側面パーツを合体させ終わったら、今度は前面パーツを底面パーツに合体させます。
ここも前面パーツを上にして縫い目が外側から見える外縫いにします。
底面パーツと背面パーツの組み立て
同じ要領で今度は背面パーツを合体させます。ここも外縫いにします。
前面パーツと側面パーツの組み立て
次に、前面パーツと側面パーツを合体させます。
ここは前面パーツの端が下側でその上に側面パーツの端を被せて外縫いにします。
部品の位置がズレない様に各部品の端の孔に針を刺して仮止めしながら縫い付けます。
前面パーツとフタパーツの組み立て
前面パーツとフタパーツを合体させます。
前面パーツの開口部の下にフタパーツの下端を置き、さらに前面パーツと側面パーツの境目にフタパーツの境目を合わせて仮糸で位置合わせしてから麻糸で縫い付けます。
側面パーツとフタパーツの組み立て
続いて、側面パーツとフタパーツを合体させます。
ここも先ほどと同様に仮糸で位置合わせしてから、麻糸で縫い合わせます。
側面パーツと背面パーツの組み立て
今度は側面パーツと背面パーツを合体させます。
ここは側面パーツの裏面と背面パーツの裏面を向かい合わせて縫い付けます。
背面パーツとフタパーツ組み立て
次に背面パーツにフタパーツを合体させます。
ここも先ほどと同様に仮糸で位置合わせしてから、麻糸で縫い合わせます。
蓋パーツ同士の組み立て
最後にフタパーツ同士をあわせてバイアステープで包むように縫い付けます。
この段階で全体的な歪みが出ない様に長さを調節しながら縫います。
ベルト調整
ここまでで完成!
したかと思いきや、最後に確認したら、固定ベルト2の長さが足りなかったので、ベルトを継ぎ足しました。
サドルバック 完成
今度こそついに サドルバック の完成!!
これで快適な自転車ライフが送れそうで楽しみです。
できた サドルバック をさっそく自転車に取り付けてみました。
底面パーツにつけた固定ベルト1と前面パーツにつけた固定ベルト2で自転車に固定しました。
固定ベルト2を締めたら少し長かったので、余分な分は結びました。
「うん、いいね。座面の下にピッタリ入った。」
取り外した後に折り畳んだ様子です。
「うん、ちゃんとパーツ同士の継ぎ目で折り畳めて、小さくできた。これなら収納するときにそんなに邪魔にならないな。」
サドルバック を使用してみての感想
実際につくった サドルバック をつかってみると、
○ やっぱりリュックを背負わなくていいのは快適だった。
○ 自転車を漕いだ時に、 サドルバック が太ももの裏に当たるときがあるが、そんなに気にならないから良しとする。
いろいろ反省点はあるけど、作ってよかったです。
おしまい。最後まで読んでくれてありがとう。
型紙公開
興味のある方のために型紙を無料で公開します。
ただし、注意点として以下の事項を守ってください。
・個人の方が趣味の範囲で使用してください。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
・型紙に5cmの縮尺を掲載してありますので、印刷後に縮尺が正しいかを確認してからご使用ください。
おおおおおおっ!
これも見栄えもよくプロ顔負けの製品ですね(´◉◞౪◟◉)b
布のサドルバッグよりは形がしっかりしているので物も入れやすそうです
細かい作業も多いですが毎度見事にこなしているのはさすがです
太ももに当たる想定は経験がないときびしそぅ
赤レンジャイさん、お褒めの言葉をありがとうございます。
腕前は素人ですが、趣味なので自分の作りたいものを気ままに作っています。
そのせいで難易度が跳ね上がるときがあります。
今回のも折り畳めて小さくできたらいいなと気軽に思いつきましたが、
実現するのにずいぶんと苦戦して時間がかかりました。
それでも制作は楽しかったです。