レザークラフトでのスピーディーステッチャーの使い方

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目次

スピーディーステッチャー(手動ミシン)が便利だった

ユキ

片側からだけで縫えるスピーディーステッチャーを買ったよ。

ココ

取扱説明書がついていない。どうやって使えばいいのかしら?

エン

使い方を整理したぜ。

こんにちは。みどりです。
今回はスピーディーステッチャーの使い方をまとめました。参考になれば幸いです。

 そもそも、スピーディーステッチャーって何?思われる方もいらっしゃると思います。そういう私もネットショップの商品案内メールでレコメンドされて初めて知りました。

 スピーディーステッチャーとは、手動ミシンの一種で、革の片側から針を抜き差しすることで革を縫うことができる器具です。

 ちょうどリュック制作に苦戦していたときで、便利そうな感じがしたので即買いしました。結果、苦戦していた部分を簡単に縫えたので大変助かりました。  

ちなみに、その苦戦したリュックの制作の様子は以下の記事にまとめましたので、興味のある方はあわせてどうぞ。

 

商品自体はとても良かったです。ただ、私の買った商品に取扱説明書がなかったため、ネットで使い方を調べることになりました。 それで、今回使い方を記事にしておこうと思いました。  


まずは、これがスピーディーステッチャーで縫っている様子です。

スピーディーステッチャー
スピーディーステッチャーの使用風景

リュックの底を縫うときに、リュックの外側から針を抜き差しするだけで縫えてしまうのでとても重宝しました。

「最初は手縫いで縫っていたんだけど、内側から縫い穴を探すのがすごく大変だったし、針も3本も折れるし、泣きそうだったよ。でもコレを使ったらスイスイ縫えて超便利だったわ。」

開封と針の準備

箱を開けて中身のパーツを確認すると、以下のものが入っていました。
・糸
・本体(針を固定する部分)
・本体(木製グリップ)
・本体(ボビン収納用のフタ)
・ボビン
・マイナスドライバー
・針2種類(直、曲)

スピーディーステッチャー
梱包物

ちなみに、マイナスドライバーは木製グリップ内部に収納されているボビンを取り出すときに、フタを開けるためだけに使います。

「このフタがガッチリはまっていて、爪でこじ開けようとすると痛かったから、付属のドライバーをフタの溝に差し込んで開けたよ。」

毎回ドライバーを使うのは面倒なので、フタの隙間に糸を差し込んで、ループ状にして取り付けておくと、引っ張るだけになるので便利です。

底をあける
ボビンを取り出す

針と糸の選択

使う糸の太さによって、針を選ぶ必要があります。

最初に、付属の針についてですが、小物のレザークラフトには不適だと思いました。
針がとても太くて、手持ちの菱目打ちや菱切りであけた孔を通らなかったです。無理に通そうとすると、縫い孔の形を壊すようにこじ開ける形になりました。

おそらく、使うとしたらテントやヨットの帆なんかの厚手のものに使用できるのではないかと思います。

付属の針
付属の針と糸

レザークラフト用には、別売りの『交換用針(小4S)』が適していました。

普段使っている糸がエスコードの中太ですが、この糸の太さが入るのがこの 『交換用針(小4S)』 でした。

 また、この針はとても鋭いので、薄いクロム生地であれば事前に孔を開けていなくても、針を通すことができます。

「この針、とっても鋭いわ。指にちょっと刺さっただけで血が出たのには驚いた。取り扱い注意だね。」

別売りの針
交換用針とエスコード(中太)

家庭用ミシン針も使用することができます。
ミシン針だけだと、細くて器具に固定できないので、マスキングテープを巻いて太さを補って使います。

ミシン針の太さは『14#』だと、エスコード(細)を針に通すことができましたが、中太は通せませんでした。

ちなみに、より細い針の『11#』では 細も通せませんでした。また、 より太い針である『16#』『18#』は所持していないので試していないです。

ミシン針
ミシン針とエスコード(細)

針と糸のセッティング

スピーディーステッチャーに針と糸をセッティングする方法を説明します。

①:始めに、ボビンに糸をまいていきます
コツとしては、縫う作業中に送り出す糸がひっかからないように、糸を丁寧に巻いたほうがいいです。

ボビンに糸をまく
ボビンに糸をまく

蝋引きされていない糸の場合は、毛羽立ちがなくなるまで糸をワックスに押し当てて蝋引きしてからボビンに巻いていきます。

ワックスを塗る
蝋引き

②:次に、巻き終わりの糸の端を持って、本体グリップの下部に開いている孔糸を内部から外に向かって通します

内側から糸を通す
グリップの中から糸を出す

③:そして、孔から出した糸を本体中央部にあるボタンに、くるっと回してひっかけます
「ひっかけるときに糸の端を上にして回そうとも、下にして回そうとも、使い心地に違いは感じなかったな。」

糸をひっかける
ボタンに糸をひっかける

④:続いて、糸の端を本体上部の金属パーツの孔を通します

糸を通す
金属パーツの孔に糸を通す

⑤その後、糸の端を針の孔に通します

針に糸を通す
針の孔に糸を通す

このとき、糸は針の『みぞ』のある側から、『えぐり』のある側へむけて通します。

「針をよく見ると、みぞやえぐりがあるね。こんなに細いのに細かく作らていてすごいな。このみぞに糸を収めることで、革に針を通した時に抵抗が少なくて手縫いのときより楽に針をさせたよ。」

針の構造
針の『みぞ』と『えぐり』構造

⑥:そして、針の固定具を回しながら締めて、針を固定します
このとき、糸が捻じれないように針の孔とボタンを一直線に保ちます。

針を固定する
針を固定する

ちなみに、糸は固定具を締める部分にある溝に収めておきます。

みぞに糸をはめる
糸を溝に収める

⑦:最後に、ボビンを本体グリップに収めてセッティングは完了です。

ボビンを収納する
ボビンを収納

絶対必要な作業ではないですが、糸の先端に針を取り付けておきます。
「糸の端に針を取り付けなくても縫うことはできるけど、針があったほうが便利だよ。」

糸の先端に針を取り付ける
糸の先端に針をつける

スピーディーステッチャーの仕組み

この先で縫い方を説明する前に、スピーディーステッチャーの縫う仕組みである『ミシン縫い 』 という縫い方を説明します。『ミシン縫い』は通常の縫い方である『手縫い 』 とは違う縫い方をしますのでイラストで解説します。

縫い目の説明

まず、1本の糸を半分にして使う点は『手縫い 』 も『ミシン縫い 』 も同じです。
(イラストではイメージしやすいように、1本の糸を真ん中で赤色青色で色分けてしています。)

『手縫い』では、縫い穴を交互に縫っていくので、片側の糸(赤色)が表面にも裏面にも糸目をつくります。

・表面からみると、赤糸青糸の糸目が交互にできます。


○それに対して、『ミシン縫い』では一つの縫い穴に対して、
針を刺し時に表の糸(赤色)を一度裏面に出します。その際に裏の糸(青色)表の糸(赤)の輪(ループ)に通します。

その後に針を抜くと同時に表の糸(赤)を引き抜きます。しかし、裏の糸(青)が引っかかることで 表の糸(赤)の輪が裏に残されます。
これによって、表の糸裏の糸でレザーを挟み込んで固定します。

・表面からみると、赤糸の糸目しか見えないです。裏面からみると、1本の青糸を一定間隔で 赤糸の輪が留めているように見えます。


この『ミシン縫い 』 の縫い方をイメージしながら以下の使い方を読んでください。

スピーディーステッチャーの使い方

準備として裏面の一部には帆布を貼ったヌメ革を用意しました。
 実際に作品づくりをしていると、縫い穴を開けた後に布を貼ることがあります。しかし、この布が裏面の縫い穴の位置を隠してしまい、縫うときに縫い穴を探すのに苦労します。そんな場面を再現してみました。

そして、 比較として手縫いで縫う場合のステッチもつくっておきました。

裏面に帆布を貼った革での手縫い

「こういう場面でもスピーディーステッチャーなら、オモテ面の縫い孔だけわかればいいので楽でいいな」

基本動作

それではいよいよ、スピーディーステッチャーの使い方を説明します。

①:縫い始めでは、使う糸の半分を裏面に送るために、糸の端につけた針を刺して貫通させます。(針をつけていない場合は、スピーディーステッチャーを孔に刺してから、糸を引っ張り出します。)

一目
縫い始め

②:裏面に必要な長さの糸を送るために、ボビンから糸を引っ張り出します
「糸の端を引っ張ることでも糸を引き出せるけど、それだと器具を痛めそうなので、まずはボビンの近くの糸を引き出してから、糸の端を引っ張るという2段階で糸を裏面に送るよ。」

糸を送り出す
糸を引き出す

裏面に送る糸の長さは、縫う距離の1.5倍から2倍くらいが必要です。

裏糸の長さ
裏面に送る糸の長さ

③:それでは、縫っていきます。隣の縫い孔に表面から針を刺します

2目目
縫い始め

④:奥に向かって針を根元まで刺します。

奥までさす
針を根元までさす

⑤:針をちょっとだけ手前側に引きます。こうすることで、針のえぐり部分に針と糸で囲われた空間ができます。
(空間ができない場合は、手で引っ張って空間を作ります。)

ちょっと引く
針のえぐり部分に空間をつくる

⑥:⑤でできた、針のえぐり下の空間に裏面に送った糸を通します。
「この作業を楽にするために、糸の先端に針をつけておいたんだよね。」

注意点として、稀に針のみぞ側に空間ができる場合がありますが、そこに糸を通すと縫えなくなりますので、間違わないように気を付けてください。

裏糸を通す
裏糸を作った空間に通す

⑦:スピーディーステッチャーの針を手前側に引き抜きます。

針を引き抜く
針を引き抜く

⑧:糸を引っ張って引き締めます。
ただし、強く引っ張りすぎると裏面の糸も孔から引き出されてしまうので、糸の様子を見ながら、力加減を調節します。

オモテ糸を引っ張る
糸を引き締める

⑨:同じ要領で、次の孔に針を刺します。以後、この作業を繰り返します。

繰り返す
繰り返し作業

⑩:縫い終わりの方法
端まで縫い終わったら、折り返して二目縫い返します。

縫い終わり1
縫い終わりは二目戻る

裏面の糸とループ状のオモテ糸に接着剤をつけてから、針を表に引き抜きます。
余分な糸の根本をハサミで切り落としたら、接着剤が乾いて固定されるのを待ちます。

縫い終わり2
縫い終わりの処理

縫い目のチェック

縫い目をチェックします。

オモテ面の縫い目です。
上が『手縫い』で縫ったもの。下がスピーディーステッチャーで縫ったものです。

「下の縫い目はガタガタしてるね。器具の使い方にムラがありそうだな。」
この縫い目から考察すると、針を刺すときの針の向きが影響しているのではないかと思います。

表のいとめ 
オモテ面の縫い目チェック

裏面の縫い目です。
上が『手縫い』で縫ったもの。下がスピーディーステッチャーで縫ったものです。

「下の縫い目のところどころに瘤みたいな出っ張りができているね。オモテ面に糸を引っ張る作業がうまくいっていないのでは?」

思い当たる節は、オモテ面に糸をひっぱって糸を引き締めた後に、次の孔に針を刺す場面で、裏面の糸がブラブラしながら、せっかく引き締めた糸を緩ませていた感じがしたことです。

裏面
裏面も縫い目チェック

縫い目が綺麗ではないので、やり直しです。

反省

やり直しの際には以下の点に注意します。
オモテ面:針を刺すときに、針の向きを同じにする
裏面: 裏糸をブラブラさせないように引っ張りながら縫う

糸をほどく

やり直すために、糸をほどきます。
「縫った後に糸をほどくなんて嫌な作業だけど、ついでにミシン縫いの強度も確かめておこう。ミシンで縫った布製品の糸は一部が切れると、糸がスルスルと抜けちゃうことがあるね。この縫い方の不安点だよ。」

縫い目の一部をハサミで切ります。

糸をほどく
糸をほどく ~糸を切る~

オモテ面から糸を切った部分を引っ張っります。

糸をほどく
糸をほどく ~切れた糸を引っ張る~

今度は、裏返してから少し離れた部分の糸を引っ張ってみます。

「糸を引っ張るときに、ちょっと力がいるな。布に縫ったミシン糸みたいにスルスルと抜ける感じはしないな。これなら万一にも一部の糸が切れたとしても、全体が崩壊することはない感じがする。」

糸をほどく2
糸をほどく ~切れた糸を引っ張る~

この作業を繰り返して、糸をほどいていきます。

再チャレンジ

糸をほどき終わったので、気を取り直して再度縫います。
今度は反省を活かします。


まずは、オモテ面での反省:針を刺すときに、針の向きを同じにする

針を刺すときに、針のみぞを進行方向に対して必ず直角になるように気を付けました。(写真では、針のみぞが天井を向くように刺していきます。)

スピーディーステッチャーの使い方
オモテ面:針の向きを同じにして刺していく

次は、 裏面の反省: 裏糸をブラブラさせないように引っ張りながら縫う

刺した針を引き抜くときに、裏面の糸を進行方向に引っ張りながら針を引き抜きます。そして、オモテの糸を引っ張るときにも裏の糸を引っ張りながら、表の糸が出っ張らないかをチェックしながら引き締めました。

裏糸を引っ張る
裏面:裏糸をブラブラさせないように引っ張りながら、オモテの糸を引き締める

縫い終わったので、糸目のチェックをします。

まずは、オモテ面をチェックします。
上の黒糸が『手縫い』で縫ったもの。下の赤糸がスピーディーステッチャーで縫ったものです。

「スピーディーステッチャーで縫った糸目は綺麗になったね。やり直したことで縫い孔が広がってなければ、もっと綺麗だろうな。」

「ただ、手縫いと比べると糸目の形が異なるね。菱切りの平行四辺形の孔が活かされていないな。この糸目になるなら、菱切りではなくても目打ちで孔を開けてもいいかも。」

表面の糸目
やり直した縫い目のオモテ面

続いて、裏面のチェックです。
「オモテ糸が出っ張ることでできていた瘤がでなくなったね。これなら、気にならないな。」

裏面の糸目
やり直した縫い目の裏面

綺麗に縫うコツのまとめ:
オモテ面:針を刺すときに、針の向きを同じにする。
裏面: 裏糸をブラブラさせないように引っ張りながら縫う。

その他

注意点

注意点として、縫っているときに糸が切れることがあります。

糸が切れる
縫っている途中で糸が切れる

糸が切れる原因は、
ボビンがうまく回らずにグリップの中で糸が引っかかっていることです。
その状態で無理に針を刺したために、糸を引っ張りすぎてしまい耐えられなくて切れていしまいます。

そのため、使用中にときどき糸の貼り具合を確認し、強く糸が貼りすぎていると感じたときには、手動で糸をボビンから引っ張り出す作業を行うと糸が切れることを予防できます。

糸が切れる原因
糸が切れるのを防ぐ

家庭用ミシンのボビンを流用する方法

付属品のボビンのほかに、家庭用のボビンも代用できます。家庭用ボビンなら2個を内部に収納できます。

ただし、家庭用ボビンを使用するにあたっては、ボビンの回転軸を自作する必要があります。その作り方を以下で紹介します。

なお、ボビンを2個入れることができますが、糸同士が絡む可能性もあるので、使用しないほうの糸の端はマスキングテープなどで留めておくといいです。

家庭用ボビンを流用

用意する回転軸の材料は、厚紙爪楊枝です。

回転軸の作り方です。
回転軸が本体グリップの中から飛び出さないための軸固定パーツとして、 厚紙を 直径22mmの円形に切り抜きます。
(写真では、記事の最後に掲載した型紙を厚紙に貼ってから切り抜きました。)

ボビン固定具を作る
直径22mmの円

軸となる爪楊枝は先端から長さ約37mmのところでカットします。

軸をつくる
爪楊枝の先端から37mmを使用

円の中心に爪楊枝を刺してから、木製グリップの中に入れてみて、軸の長さを微調整します。

ボビンを収納
軸の長さを合わせる

軸の長さが決まったら、接着剤を塗って回転軸と軸固定パーツを接着します。
これで家庭用ボビンの回転軸の完成です。

軸を接着する
接着剤で固定

ボビン収納用固定パーツの型紙公開

家庭用ボビンの回転軸の寸法を記した型紙を無料で公開します。  

ただし、注意点として以下の事項を守ってください。 ・個人の方が趣味の範囲で使用してください。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。 ・型紙に5cmの縮尺を掲載してありますので、印刷後に縮尺が正しいかを確認してからご使用ください。

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