後付けできる革製 チェストベルト の作り方~型紙公開~
目次
大人用の チェストベルト が欲しい
リュックを背負うときに チェストベルト が欲しいな
でも市販品のデザインは好みじゃないわ。大人用のお洒落なチェストベルトがいいわ
売ってないなら、自分で作ろうぜ。ついでにカービングや染色にも挑戦しようぜ
こんにちは。みどりです。
今回のレザークラフトではリュックを背負うときに胸元で固定するチェストベルトを作りました。
作ってみての反省点を記事にすることで、参考になれば幸いです。
これが完成品です。
このチェストベルトは専用のフックがないリュックにも取り付けることができるように後付け可能な構造にしましたので一般的なリュックに使用できます。また、おしゃれ感を出すために、胸もとに位置するパーツ(フロントパネル)はカービングで模様をあしらっています。このフロントパネルは取り外して交換できる設計で、季節ごとに替えて季節感のある絵柄で楽しむ予定です。今回のデザインは夏らしく金魚と流水紋にしました。
リュックの肩紐に取り付る際には、両端のベルト部分を肩紐に巻き付けてギボシで留めています。そして、装着中にリュックを上げ下げする際は、フロントパネルの後ろのバックルで胸元を開放します。
このチェストベルトを作ろうと思った経緯は、
以前に作った小型リュックの背負い心地が快適すぎてそれに慣れてしまったら、別の機会に大きなリュックを背負ったら肩が痛くなることに気づいてしまいました。何とかしたくて、試しに100円グッズのチェストベルトを使ってみたら肩が楽になったので、大きなリュックを背負う際にはチェストベルトがあったらいいなと思ったからです。
ただ、市販品ではいくつか不便なところがあったので、そこは改良しようと思いました。
「市販品はベルトの素材がアクリルのため、胸の高さに合わせて装着していても、すぐに滑って下まで落ちちゃうから、毎回必要な高さまで戻すのが面倒だなぁ。それに黒くて可愛さが足りなし、なんか拘束具みたい。」
ちなみに、小型リュックの制作の様子は以下の記事にまとめましたので、興味のある方はあわせてどうぞ。
関連記事>>>革と帆布リュックの作り方 ~型紙公開~
制作意図
○ 季節に合わせて絵柄を変更できること
「最初はカービングだけにしようと思っていたんだけど、なにか物足りなくて、染色もすることにしたよ。」
反省
○ 染色する際に、はみ出して塗らないようにする
前準備
試作品の チェストベルト
頭の中のアイディアをざっくりとフェルトで形にしながらアイディアをブラッシュアップしていきます。それをもとに型紙を起します。
「頭の中のアイディアをとりあえず、ざっくりでいいので具現化する感じで試作品もどきをつくるよ。頭にあるだけだといつまでたっても作り出せないからね。」
構造の説明
制作風景を紹介する前に構造をイラストで説明します。
このチェストベルトはおおきく以下の3つのパーツでできています。
○ 右肩用ベルト:リュックの右肩紐に装着するベルトで、クロム鞣しの革をベースに部品としてギボシ、D環、ベルト通し、そしてバックル(オス)を取り付けます。
○ 左肩用ベルト: リュックの左肩紐に装着するベルトで、 クロム鞣しの革をベースに部品としてバネホック(オス)×2個、バックル(メス)、切れ込み補強部品、ベルト通し、D環、そしてギボシを取り付けます。
○ フロントパネル: 胸元でイラストを楽しむために左肩用ベルトにバネホックで取り付けます。カービングを施すためにヌメ革を使用します。
チェストベルト 制作の様子
それでは制作過程を紹介します。制作は以下の工程で行いました。
1.部品製作
2.左肩用ベルトパーツの制作
3.右肩用ベルトパーツの制作
4.フロントパネルの制作
5.リュックへの取り付け
6.フロントパネルの染色
1.部品制作
まずは、パーツを作るための各部品をつくります。
革部品の切り出し
始めに、型紙を革に転写します。
革の上にコピー用紙に印刷した型紙を乗せます。そして、その輪郭を目打ちを用いてなぞることで、型紙を革に写します。
このときに、縫い孔位置も目打ちで刺しておき、その後にひと孔ずつ菱切りで刺して縫い孔を開けます。
関連記事>>>【レザークラフト騒音対策】菱キリを用いた縫い穴のあけ方
ちなみに、ギボシ用の孔を開ける位置は、円の中心点を目打ちを用いて刺して目印を革につけます。
革に転写した輪郭線を目印に革包丁で革を裁断します。今回は革とカッター板の間にソフトタイプのカードケースを挟んでみました。
「いままでカッター板だけだったけど、なんか硬い感じがしてたから柔らかい素材としてカードケースを挟んでみたよ。このほうが切れやすい感じがするね。」
「本当はビニル板がいいらしいけど、高いから手が出ないなぁ。」
ギボシ用の孔あけ
ギボシを取り付ける孔やギボシを止めるための孔を開けます。今回は新兵器『スクリューポンチ』を使用しました。
「これいいね。サクサク孔が開けられるよ。音も出ないし穴あけが楽しくなっちゃう。」
「実はこのスクリューポンチは姉から誕生日プレゼントとしてもらったの。すごい感謝。」
「でも、朝6時ころから打ち具の音が響くのはやっぱり嫌だったのかなぁ。ちょっと反省します。」
ギボシを留めるための孔には、ギボシの頭をスムーズに通すために孔の上下に 切り込みを1mmくらいずつ入れます。
「孔のサイズはギボシの首の太さに合わせてるから、この切れ込みを入れないとギボシの頭が孔に入らないよ。」
孔の断面にトコノールを塗ってギボシの滑りをよくします。