L字型ファスナー型二つ折り財布の作りかた
試作品も作り終えたし、いよいよ二つ折り財布の本番にチャレンジしよう。
こんにちは。みどりです。
今回は布地を張った二つ折り財布を作りました。
「革財布をつくるのって、レザークラフトをするにあたってのちょっとした目標なんだよね。」
「なんか難しそうだし、市販品は高価だし、そんな革財布をつくれるようになったらいいなってずっと思ってたから、今回勇気をだしてチャレンジしてみるわ。」
「うまく作れないかもしれないけど、まぁ趣味だから(魔法の言葉)」
作ってみての反省点を記事にすることで、参考になれば幸いです。
※無料型紙を記事の最後に載せています。興味があればどうぞ。
※今回は大作なので製作前に試作品を作って、反省点を洗い出しています。
試作品を作ったときの記事も参考にどうぞ。
前回反省の要点
「試作品を作って、下記の反省点がわかったから、これをふまえてチャレンジします。」
○ 財布中央部分の幅が13mmではうまくいかないので改良する。
○ カード収納部分の深さは44mmではうまくいかないので改良する。
○ カード収納部分の上部を縫うときなど、二重に縫う部分があるときは長めに糸を用意する。
○ カード収納部分の裏はナイロン生地だけでは強度不足なので裏に革を貼る。
○ 革を3枚重ねる部分が発生しない設計に改良する。
○ ナイロン生地は切りっぱなしでははく、裏に折り返してから貼る。
○ ファスナーをコインポケットの下側ギリギリに縫い付けるとうまくいかないので、位置を調整する。
上記の反省を踏まえて作ったこれが今回の完成品です。
「紫色の財布です。前までは赤色が好きだったんだけど、最近は紫色もいいなって思うようになったので、チョイスしました。」
「ちなみに、色彩心理学では紫色は想像力をかきたて、感性を豊かにする色だそうです。うん、私の感性が豊かになってるってことだね。ってことにします。他にも意味はあるみたい。」
フラップを開いたときの内部の様子です。
「ファスナーの金属取っ手が丸っこくてかわいい。って、おもったけど、あとあとこの子が、ある問題を引き起こします。」
制作意図
この財布は以下の機能を持つように作りました。
○ カードが4枚収納できる
○ コインポケットの開閉部分はL字ファスナー形
○ 紙幣収納部分は仕切りをつけて2区画
○ 内側にナイロン生地を使うことで薄い財布にする
○ カバンの中で開かないようにフラップをつける
「今使っている長財布がデカイなって思っているので、小さい財布を作りたかったです。」
「でも、最低限の便利さは欲しかったので上記の機能をつけることにしました。」
反省
実際に作ってみて、以下のような反省点がありました。
○ファスナーの取り付け位置が下過ぎた。
「前回反省点にも上がったけど、ファスナーを革の下端に近い位置にしたら、ファスナーの厚みが邪魔して、ファスナーを挟み込む予定の革と革を張り合わせることが出来なかったよ。」
「仕方ないので、ファスナーを見えなくするために急遽、革の部品を追加してしのぐことにした。この部分はもう少し調整が必要だね。」
○革の端と縫い穴の距離を3mmにしたが、もう少し距離があったほうがよかった。
「ナイロン生地を挟み込んだ2枚の革のコバをきれいにするためには、3mmだとぎりぎりだった。」
「というか、一部では足りなくてナイロン生地が見えてしまっている部分もあった。」
「まぁ、それはナイロン生地のとりつけが予定より端側にずれてたのだろうけど、どちらにしろ、もう少し距離は欲しいね。」
○ファスナーの取っ手を金属製にしたら、中で取っ手が革を傷つけている。革製の取っ手に付け替えたい。
「この取っ手は丸くてかわいいなって思ったんだけど、腐っても金属だもの、革より固いね。そりゃ革が傷つくわ。盲点だった。」
○フラップのマグネットが強力すぎるのであけずらい。もう少し磁力の弱いものにすればよかった。
「力のある人なら問題ないのだろうけど、あけにくい。サッとあけられない。レジ前でモタモタする人になりました。ごめんなさい。」
追記:使用して1年経過後の状態
作ってから1年使い続けました。さて、どんな状態になっているでしょうか?
これが、1年後の状態です。
「とくに支障もなく普通に使えていますよ。糸が切れたり、ボロボロになったりすることないです。」
ただ、2点気になる点が出てきました。
1点目:閉じたときに内側のカードがあたる部分がこすれてきている。
「くっきりと線がみえるようになりました。これは設計上の問題かな。」
2点目:鳥のイラストの刻印が薄くなってきている。
「押しつけかたが甘かったのか、使用した革の性質か、はたまたカードを出し入れする部分のせいか、ちょっと原因はわからないけど、刻印が薄くなっちゃった。ちょっと悲しいな。」
「なんだかんだいっても、愛着があるのでまだまだ使うぞ~」
型紙
試作品の反省を踏まえて以下のように改良した型紙をつかいました。
※製作過程では型紙に載っていないことも行っていますのでイメージとしてご覧ください。
(記事の最後に載せている型紙では修正しています。)
カード入れ部分とコインポケットのマチ部分です。
コインポケットの台座部分、表革部分と布地部分です。
「反省であげたけど、ファスナー取り付け位置はまだ調整が必要だな」
「コインポケット台座の側面は作っている途中で、このままだと革が3枚重なるから端を6mm程カットすることにしたよ。」
内側パーツ部分と補強用に裏に貼る革部分です
紙幣収納パーツ(中仕切り)です。
内側パーツより横の長さを少し大きくしてあります。
外側革パーツの革用です。
紙幣収納パーツより横の長さを少し大きくしてあります。
外側革パーツのナイロン生地用です
端を折りかえしたときに外側革パーツと同じ大きさにしております。
構造と工程の説明
財布は構造が少し複雑なので、詳しい製作過程を紹介する前に簡単に構造と工程を説明します。
「財布の各部の正式名称ってわからないね。とりあえず勝手に名づけようっと」
今回作った財布の構造は以下の4個のパーツで構成しています。
①内側パーツ
財布の最も内側に位置していて、コインポケットとカードいれを配置したパーツです。
②紙幣収納パーツ
紙幣収納部分を2区画にわけるための中仕切り用パーツです。
③外側革パーツ
財布の最も外側の革にあたるパーツです。
④フラップパーツ
財布を閉じるためのマグネットホックを取り付けるパーツです。
製作過程は以下の6つの工程になります。
Ⅰ.部品づくり
はじめに、以下のイラストに示すような革と布地の部品をつくります。
Ⅱ.内側パーツ作り
次に、内側パーツをつくります。
[ 内側パーツの台座 ] の右側に [ コインポケット部分 ] と左側に [ カード入れ部分 ] を作ります。
「作りはじめですぐだけど、今作の最大の難所だった。なぜ自分はL字型ファスナーにしたんだろうって少し後悔したよ。」
「でも、ここを乗り切ると後は気持ち的に余裕、余裕ってなった。成長したな自分。」
Ⅲ.紙幣収納パーツ(中仕切り)作り
紙幣収納部分を2区画に分けるためのに、[ 中仕切りパーツ ]をつくります。
Ⅳ.外側革パーツ作り
財布を包み込むために、[ 外側革パーツ ]を作ります。
※外側革パーツのウラ面を見せないようにするために、同サイズの布地を内張りします。
Ⅴ.フラップパーツ作り
財布を閉じるために、マグネットフックを用いた[ フラップパーツ ]を作ります。
「途中で思いついたパーツなので、型紙なしのアドリブで作ったよ。案外ちゃんとした形になってよかった。」
Ⅵ.全パーツ組み立て
Ⅱ~Ⅴのパーツを縫って組み立てます。
「財布の見栄えを左右する大事な工程。縫い目がきれいになるようにとても気をつけたよ。」
製作過程Ⅰ.部品作り
初めに、材料を揃えます。
革A3サイズ:ネットショップ(グッドレザー)
(広告:ヌメ調レザー《べリンダ》/A3サイズ )
ナイロン生地:手芸店
14cmファスナー:手芸店
麻糸:手芸店
マグネットホック:手芸店
「今回はじめて革専門のネットショップで買ってみた。いろいろな店をみたけど、結局グッドレザーってショップで購入したよ。」
「染料染めの厚さ1.5mmくらいの革を探したときに、ココが一番探しやすかったんだよね。」
「到着した革もいい状態だったし、また購入するときもお願いしたいなって思う。」
上記の材料を使って必要な部品を切り出していきます。
まず、革に型紙を転写します。このとき、革に縫い穴の印もつけます。
ちなみに、型紙を革に転写するときに私は磁石で型紙を固定しながら行っています。
詳しい方法は以下の記事をご覧ください。
「私は手が小さいのでズレないように型紙を押さえるのが大変だったけど、磁石で固定すると、左手で押さえながらズレる事を心配しなくていいのですごく楽だよ。」
次に、革を切り出す前にウラ面に仕上げ剤(トコノール)を塗ります。
「財布が完成したときには、ほとんどの革はウラ面が見えることは無いけど、強度アップのためにやっておこうっと。」
そして、別たちを用いて切り出していきます。
ナイロン製の生地は型紙をあてて、そのままデザインナイフで切り出しました。
「革と違ってナイロン生地はそのままデザインナイフで切れるので、型紙を転写する手間を省略できたよ」
試作品の反省として、ナイロン生地は端がほつれてくる点が挙がったから、端を折り返します。
「当初はアイロンで折り返そうと思ったんだけど、うまく折り目がつかなかった・・・。」
「仕方ないので、試しにスティックのりを使ったら、これが、予想外にうまく接着できたよ。付箋紙みたいに接着した部分をはがそうと思えば出来るとこも便利。」
のりを塗った後は乾くまで磁石で固定しました。
ロゴをいれました。
「せっかく作るんだから、やっぱり自分のロゴを入れたいよね。これだけで作品への愛着は倍増だよ。」
ちなみに、ロゴの作り方に興味がある方は次の記事を参考にどうぞ。
切り出した革と端を処理したナイロン生地のパーツが出来上がりました。
※フラップは写真撮影後に湧いたアイディアなので、パーツが写真に写っていません。
Ⅱ.内側パーツ作り
①コインポケット部分作り
コインポケット部分の部品をつくる
初めに、コインポケット用に以下の部品を手元に集めます。
コインポケット台座
マチ2枚
表革
内張り用ナイロン生地
ファスナー
では、作っていきます。
まず、革同士を張り合わせる部分は、そのままでは厚くなるので
後ろ側の端をうすく削り落としていきます。
「最初はスッスッと切り落とせるんだけど、だんだん別たちの切れ味が悪くなってくるんだよね。」
「そんなときは別たちを革砥にこすり付けて切れ味を戻しているよ。」
「革砥だと砥石で研ぎなおすより簡単に切れ味が戻るのがいいね。一回使うと手放せなくなったよ。」
※革砥については、以下の記事も参考にどうぞ。
側面の革が3枚重なる部分は中央の一枚の端を6mmほど切り落としておきます。
「革が3枚重なると、最後のコバ処理のときに、きれいにできないんだよね。だからなるべく2枚重ねで済むようにしたいな。」
※型紙作成時点では考えていなかったアドリブ作業です。
こうすることで革が3枚重ならないようにします。
「ふっと思いついたアイディアだけど、なんかうまくいきそう」
マチの上端のコバを磨きます。
この部分は縫った後では処理できないでこの段階で磨いておきます。
「あまり手を汚したくないから、トコノールは耳かきですくって革にのせよっと。耳かきの形状がちょうどいいんだよね。」
前処理が終わった後のパーツです
コインポケット部分の組み立て
いよいよ、先ほどの部品を組み立ててコインポケット部分を仕上げます。
ちなみに完成形は、下記の写真のようになります。
机面から順に、
内側パーツの台座(ナイロン生地)にコインポケット台座、マチ、ファスナー、表革
の順番になるように組み立ててあります。
では、作っていきます。
まず、マチ部分に折癖をつけるために以下のことをします。
①マチのウラ面の折り目にあたる部分にティッシュに含ませた水を付けて、かるく濡らします。
②マチの革表面同士が向き合うよう(中表)に折った状態にしてクリップで固定します。
しばらく置いておいて折癖を付けます。
「クリップの跡がつくと嫌なので、布でくるんで固定しておくね。」
「しばらくたってクリップをはずすと革がいい感じに折れ曲がってたよ。これでマチとして機能してくれるね。」
その間に、表革にファスナーを取り付けます。
下準備として、接着剤を付けたくない場所はマスキングテープを貼って保護しておきます。
「マスキングテープを使うのっていいアイディアだな。って思ったけど、そもそもマスキングテープてそのための道具だった。」
「ただのデコレーションのためのテープってわけではないんだな」
まず、カーブ部分以外の上部と側面にファスナーを取り付けます。
革とファスナーに接着剤を塗って、張り合わせます。
次に、カーブ部分を接着します。
ファスナーの浮き上がっている部分の隙間に接着剤をつけて押しつぶします。
「ファスナーを取り付けるのがなかなか難しいな。カーブ部分を最後に処理するのがコツだね」
次に、内張りのナイロン生地を取り付けます。
表革のウラ面とナイロン生地のウラ面に接着剤を塗ります。
内張り用のナイロン生地をはりつけてから、
コーナー部分に5円玉をあてて余分な革をカットします。
目印の目打ち跡に表から菱ギリをさして、縫い穴をあけます。
「試作品づくりのときに、コインポケットの内側から菱ギリを刺したら、表側では縫い穴の列がガタガタになってしまっていて、縫ったときにきれいな糸目にならなかったんだよね。」
「だから、表革側から菱ギリを刺すのはファスナーが邪魔して大変なんだけど、こちら側から縫い穴を開けることにしたよ。」
麻糸にワックスをつけます。
「つけるワックスの量が足りないと、縫った後で糸が毛羽立つからしっかりとつけよう。」
コインポケットとマチの上部を位置あわせのために仕付け糸で仮留めしてから、接着剤を塗って貼り付けます。
コインポケット内部の上側と側面をファスナーやマチごと縫い付けます。
縫うときは、表面から針を刺して縫っていきます。
「普段はウラ面から針を刺して縫っているのだけど、今回はウラ面にナイロン生地を張っているから、ウラ面から縫い穴が見えないよ。だから表面から針を刺していこうっと。」
※縫い方の方法をイラストで図解したこちらの記事も参考にどうぞ。
次に、マチをナイロン生地とあわせてコインポケット台座に縫い付けます。
まず、マチとナイロン生地に接着剤を塗って張り合わせます。
そして、ナイロン生地の裏側とファスナーの裏側にも接着剤を付けてナイロン生地とファスナーを合体させてクリップで固定します。
「ここまで出来たら、ひとまず難所はこえたかな。」
「作業途中で何度も自分はなぜL字ファスナーにしようと思ったのかと後悔したけど、できると満足感が高いね」
いよいよ、コインポケットを台座に縫い付けます。
まず、ここまで組み立てたコインポケットのファスナー表側とコインポケット台座に接着剤をつけて、台座に取り付けます。
※このとき、コインポケットの設置位置がずれないないように、下側に仕付け糸を通すことでとりつけ位置の目印としました。
※ファスナーは先ほどと同様に、上側と側面を先に接着して、その後にコーナー部分を押しつぶすように接着します。
接着剤で仮留めしたら、台座にファスナーとナイロン生地を糸で縫い付けます。
写真では、上から順に、表革、ファスナー、ナイロン生地、マチ、マチ、ナイロン生地、ファスナー、台座という順番に縫い付けています。
ちなみに、台座の裏側はこんな感じになっています。
この段階では、財布の右側面(写真では左側)はまだ縫っていません。
この部分は最後に組み立てるときに縫う予定です。
コインポケットの表革とマチを縫います
コインポケット台座を内側パーツ台座(布)に縫い付けて、コインポケット部分の完成です
「やったー、難所を越えたよ。この先の作業は余裕だね」
②カード入れ部分作り
次に、以下のようなカード入れ部分を組み立てていきます。
カード入れ部分の内部はナイロン生地にして、全体の厚さを抑えます。
では、組み立てていきます。
革と内部のナイロン生地を合体させます。
そのために、ナイロン生地と接する革部分は薄くします。
一番表に来るパーツも端を薄くします。
革と、ナイロン生地に接着剤を塗って張り合わせます。
目打ちの印跡にあわせて縫い穴を菱ギリで開けます。
カード入れパーツを縫います。
縫い終わった後に糸がカードに引っかからないように、
目打ちの後ろで押しつぶします。
革のヘリをヘリ落としでそぎ落とします。
「いつもはヘリ落としの切れ味が悪くて100均のネイルケア道具である甘皮切りを使っていたよ。」
「だけど、100均のためか本体の強度が弱くて、今回のような固い革だと折れそうだったから、ダメもとでお蔵入りしていたヘリ落としを使ってみたよ。」
「そしたら、なんとスルスルとヘリがカットできるではないか。あれあれ?目からうろこだよ。」
「なるほど、ヘリ落としって柔らかい革だと切れないけど、固い革だと切れるのか。っておもったね。」
「今後は、柔らかい革には甘皮きり、固い革にはヘリ落としという風に使い分けようっと。」
組み立てた後では磨けなくなるので、
カード入れパーツのコバを磨きます。
カード入れパーツを台座に接着します。
接着剤が付いて欲しくない部分は、ここでもマスキングテープを貼ってあります。
カード入れパーツの左側と台座を糸で縫い付けます。
縫った後は糸を押しつぶします。
すべてのカード入れパーツを順番に縫い付けて完成です。
「コインポケットにに比べたら、とても気が楽だよ」
ちなみに、台座側からみると写真のようになっています。
③内側パーツ組み立て
内側パーツを仕上げていきます。
革の裏がナイロン生地だけだと強度が足りないので、台座の後ろの上端に革を付けます。
「裏に革を貼るくらいなら、そもそも台座もナイロン生地じゃなくて革にしてもよいかもとチラッと思ったけど、ナイロン生地の柄がかわいいので、この路線で突き進むことにしようっと。」
まず、貼り付ける革を薄くします
「革の幅が細いので、手で押さえるのは超危険。でも、押さえないとうまく切れないしどうしよう?って思ったときに目に付きました。いいものが。そう、別たちのカバーが。」
「カバーで革を押さえると細い幅の革でも、手を切らずに薄く出来たよ。このために別たちにはカバーがついてるのか!(たぶんちがう。)」
革と台座に接着剤を塗って貼り付けます。
財布の内側から目打ち跡に合わせて菱ギリで穴を開けます。
そして、縫います
※このとき、革と革の境部分は二重に縫って強度を高めます。
「二重に縫うために、糸は長く用意しないとな。試作品のときに縫う長さの4倍の糸では足りなかったから、今回は5倍の長さを用意しよう」
縫い付けた後、ガタガタしている余分な部分を切り落とします。
その後、やすりで段差を削ってなくし、コバを磨いたら内側パーツは完成です。
これで内側パーツの完成です。
「だんだん形になってきたよ。お手製の財布を使える日が楽しみだね。」
紙幣を入れる収納パーツを作ります。
紙幣部分は仕切りを付けて2区画にしたいので、その仕切りを作ります。
紙幣を取り出すときに、仕切りがナイロン生地だけだとフニャフニャしそうなので、
仕切りの上側に革を取り付ける予定です。
ナイロン生地はほつれ防止のために端を折ります。
その上で裏側同士を合わせて(裏合わせ)、二つ折りにします。
革は二つ折りにしてナイロン生地に縫い付ける予定なので、
細長くカットした後に、二つ折りに出来るまで根気よく薄く削ぎます。
「二つ折りに出来るまで薄くするのって、結構大変だな。なにせ細いので手を傷つけないように気をつけないとな。」
「ここで、再度別たちのカバーの登場だ。」
革に接着剤をつけてナイロン生地の上部に被せるように接着します。
目打ち跡を菱ギリで穴をあけて縫います。
ここで、ひとつ失敗しました。
「端の強度を高めようと思って、両端を二重に縫ったら、この後の工程で組み立てるときに厚みが出てしまった。」
「後工程で、中仕切りを外側革パーツと内側パーツで挟んだときに縫いずらかったよ。」
これで紙幣収納パーツの完成です。
「着々と財布が出来てきたよ。もう少しがんばろう。」
Ⅳ.外側革パーツ作り
財布全体を包み込む外側革パーツを作ります。
革の裏側を見せたくないので、革のウラ面にナイロン生地を貼ります。
外側革パーツのうち、張り合わせたときの厚みを押さえるために両端と下側部分の革を薄くします。
ただし、下側の中央部分は張り合わせないので、薄くしないでそのまま残しておきます。
縫い合わせた後では処理が難しくなるので、この段階で上部のコバをトコノールで磨いておきます。
革のウラ面にナイロン生地を貼ります。
最終的には、ナイロン生地を革で挟み込んで縫ったあとに端を整える予定なので、
ナイロン生地は革の端ギリギリには貼らないでおきます。
そのため張らない部分にマスキングテープを張っておきます。
革の裏側とナイロン生地に接着剤をつけて貼ります。
「一部分、ナイロン生地を想定より端側に貼り付けた部分があったらしく、革で挟んだ後にコバを整えるために端をやすりで削ったら、ちょっとナイロン生地が見える部分が出来ちゃったよ。」
「あちゃー、やってしまった。この段階でもうすこし内側にナイロン生地を貼ればよかったな。」
ナイロン生地を貼ったら、革の表面を上にして
菱ギリで縫い穴を開けます。
このとき、下側の中央部分は穴を開けずに残しておきます。
上部の革とナイロン生地を糸で縫います。
そして、糸を上から押して、糸の出っ張りを平らにします。
こてで、外側革パーツの完成です。
「おし、あとはフラップパーツをつくれば、組立作業に取り掛かれるよ。がんばろう。」
フラップパーツの概略
財布がカバンの中で開かないように
以下の写真のようなフラップパーツの凹部品と凸部品を作ります。
写真の上の部品が財布を跨いで閉じるための部品でマグネットホック凹パーツを付けています。
下の部品が上の部品を受け止めるための部品で、マグネットホック凸パーツを付けています。
「途中でフラップをつけようと思いついたので、型紙なしのアドリブで作ったよ。そのわりにはいい感じの仕上がりになったんじゃないかな。」
おもいつきでざっくりとした型紙(もどき)をつくりました。
その型紙を革にあてて輪郭を転写し、切り出します。
財布を跨いで閉じるための部品にマグネットホック凹パーツをとりつけ
長めに切り出した革2枚とマグネットホック凹パーツを用意します。
財布の内側になる予定の革(写真では下においてある革)にマグネットホックの足を刺す位置を決めます。
位置を決めたら、足を強く押して革にヘコミをつけて目印とします。
目印のヘコミ部分をデザインナイフで切って切り込みを開けます。
その切り込みにマグネットホックの足を差込んだら、座金をとおして、
ホックの足をペンチで外側に折ります。
これでマグネットホックの金具を取り付けできます。
「マグネットホックの足を外側に折るか、内側に折るかはどちらでも大丈夫らいしけど、パーツを薄くしたので今回は外側に折ることにしたよ。」
次に、マグネットホックの金具を隠すための被せ用の革を薄くします。
被せ用の革は財布の表側に位置するので、
見た目をきれいにするために菱目打ちで等間隔に縫い穴の印を付けます。
被せ用の革とホックを付けた革を張り合わせます。
そして菱ギリで縫い穴を一つ一つあけて縫います。
最後に糸の上から押して糸の出っ張りを平らにします。
張り合わせた革の側面をやすりで削って、コバを滑らかにします。
最後にトコノールを塗ってコバみがきをします。
凹パーツを受け止める部品にマグネットホック凸パーツをとりつけ
凸パーツも上記凹パーツと同様の手順で革に取り付けます。
ただ、凸パーツを取り付けた革の被せ用の革は、薄くするために革ではなくてナイロン生地にしました。
その部分だけ変えて、上記手順と同様にマグネットホックを革に縫い付けました。
Ⅵ.全パーツの組み立て
いよいよ、ここまで作ってきたすべてのパーツを組み立てて仕上げます。
①財布の左側を組み立てる
まず、外側革パーツと紙幣収納パーツの左側と下部中央左側に接着剤をつけて仮留めします。
さらに、紙幣収納パーツに再び接着剤をつけます。
そして、フラップパーツを挟んで、内側パーツの左側と下部中央左側に
接着剤をつけて合体し、仮留めします。
※段階で接着剤をつけるときは下部中央と右側はまだ塗らないです。
仮留めしてある外側革パーツ、紙幣収納パーツ、フラップパーツ、内側パーツをまとめて財布左側を縫います。
②財布の下部左側を組み立てる
財布の左側をぬったら、そのまま縫い進めて、下部左側も縫います。
このとき、革の段差部分は二重に縫います。
③財布の下部中央を組み立てる
財布の下部左側を縫って中央まで進んだら、一時、縫うのはストップします。
下部中央はわざと穴を開けていなかったので、この段階で穴をあけます。
「先に穴を開けておくと、勢いで縫っちゃいそうなので、強制的に気づくように穴を開けていなかったよ。」
開けた穴を使って、内側パーツは縫わずに外側革パーツとその布地だけを縫います。
「内側パーツまで一緒に縫っちゃうと財布の開閉のための遊びがなくなるからね。」
④財布の下部右側を組み立てる
下部中央を縫い終わったら、
財布の右側を揃えて接着して仮留めします。
このとき、中央部には余りがでて、財布を開閉するための遊びが出来ます。
「この遊びを生むために、型紙段階で内側パーツより紙幣収納パーツや外側革パーツの方を大きくしたんだよね。」
接着したら下部右側を縫っていきます。
ココで、問題発生。
コインポケットに取り付けたファスナーの厚みが邪魔して、
ファスナーを挟み込んで革を縫うことが出来ないことが発覚。
「まぁ、ファスナーを取り付けた段階でうすうす気づいていたんだけど、なんとかなるかなって思って先に進んでしまったの。」
「結局、指で力いっぱい押してもファスナーを挟み込んで縫うのは無理そう。」
仕方ないので、ここでもアドリブを発揮。
ファスナーが見えないように、
三角形の革のパーツを作ってコインポケットと外側革パーツの間にいれて縫うことにしました。
「とりあえず、ファスナーが見えなくなったから結果オーライ。そういえば、試作品のだんかいでもこの反省出てたのに活かしてなかったね。」
⑤財布の右側を組み立てる
下部右側を縫いおわったら、最後に財布右側を縫います。
財布右側にフラップパーツを接着して仮留めした後、
本体と一緒にフラップパーツを縫い付けます。
このときフラップパーツの両端は二重に縫って補強します。
縫い終わったら二つ折り財布の完成です。
「やったー。ついに完成した!!自慢の一品です。」
使用してみての感想
いろいろ苦労して作った財布です。
ウキウキ気分で実際につかってみると、以下の感想がありました。
○ ちゃんと、財布としての機能を発揮している。
「手作り財布なので、使っているうちにボロボロと壊れてくるんじゃないかと心配だったけど、そんなこともなく、ちゃんと使えているよ。」
○ 1円玉が貯まる
「気づくとコインポケットになぜか1円玉がたくさん入っている状態になってる。チロルチョコが1週間で1個買えるんじゃないかな。」
「苦労したご褒美かな。まぁ、実際はコインポケットが深くて1円取り出しにくいのだろうけど。チロルチョコ好きだからいいよ。」
いろいろ反省点はあるけど、作ってよかったです。
おしまい。最後まで読んでくれてありがとう。
型紙公開
興味のある方のために型紙を無料で公開します。
ただし、注意点として以下の事項を守ってください。
・型紙に5cmの縮尺を掲載してありますので、印刷後に縮尺が正しいかを確認してからご使用ください。
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