革で布地張りの二つ折り財布を手作りする ~試作品編~

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ユキ

財布はパーツが多いから難しそうだよ。もう少し腕をあげてから作るほうがいいんじゃない?

ココ

じゃあ、使わない革で財布の試作品を作って腕を上げましょう。それから高価な革で再チャレンジすることにしましょう。

こんにちは。みどりです。 今回は内部がナイロン生地の二つ折り財布の試作品を作りました。

 

作ってみての反省点を記事にすることで、参考になれば幸いです。

これが完成品です。
財布の試作品の完成
 
 
※追記
本番も製作しました。興味のある方はこちらの記事もどうぞ。
 
 

制作意図

以下の機能を持つように作りました。
○ カードが4枚収納できる
 
○ コインポケットの開閉部分はL字ファスナー
 
○ 紙幣収納部分は仕切りをつけて2区画
 
○ 内側にナイロン生地を使うことで薄い財布にする
 
 

反省

実際に作ってみて、以下のような反省点がありました。
 
○ 中央部分の幅を13mmで設計したが、一番下のカード収納部分(深さ41mm)にカードを入れると、中央より右側に飛び出てしまった。(うーん、このままだと畳んだときに右側が短くなってしまう。)
次回は、中央部分の幅を23mmで設計しようと思う。
反省点 中央が狭い
 
 
○ カード収納部分の深さを44mmで設計したら、カードの飛び出方が予想より大きかった。
(うーん、下のカードが取り出しにくいし、見た目が変だな。)
次回は、収納部分の深さを5mm足して49mmで設計しようと思う。
反省点 カード収納部分の大きさ
 
○ カード収納部分の上部を縫うときに、段差部分を二重に縫っていたら、縫う長さの3倍の糸を用意しても糸が足りなくなった。
次回からは、二重に縫う部分があるときは長めに糸を用意する。
 
○ カード収納部分の裏がナイロン生地だけだと、重ねあわせ部分がガタガタ状態。
この部分の裏はナイロン生地だけでなく革を貼ろうと思います。
反省点 裏に布だけ
 
 
○ コインポケットマチとコインポケット台座、そして表革の3枚を重ねた部分は
厚くなってて、きれいな見た目にならなかった。
 
しっかりと接着できていないことも要因だろうけど、
そもそも3枚の革を張り合わせなくてもすむような設計にしようと思う。
 
反省点 3枚張り合わせる
 
 
○ ナイロン生地を切断したまま貼り付けたら、ほつれが発生した。
ナイロン生地は切りっぱなしでははく、裏に折り返してから貼ろうと思う。
 
反省点 裏地を折り返す
 
 
○ ファスナーをコインポケットの下側ギリギリ(下から7mm)になるように縫い付けたら、
ファスナーの厚み分の膨らみが段差のようになって目立ってしまった。
または、今回は長いプラスチックファスナーを適当な長さに切って、
中に織り込んでいることも膨らみを作っている要因だと思う。
 
次回は、コインポケットの下側から15mmくらいの位置でファスナーを取り付けることや、
ちょうどいいサイズのファスナーを使用することで、
ファスナーのふくらみを目立たせないようにしようと思う。
 
反省点 ファスナーの厚み
 
 

 

作成前の前準備

革で作り始める前のアイディアだしと型紙製作の様子を説明します。
 

アイデアだし

ノートに作りたい機能と寸法を書き付けていきました。
「いろいろ思いついたままに書いていたら、見開きで4ページ分になってた。」
「何回もやり直した痕跡が蓄積していくから、だんだん設計図の描き方がわかってきたかな」
アイディアを紙に書き出す
 
 

型紙作り

お絵かきソフトのGIMPで型紙を作りました。
1つの財布にA4サイズで4~5枚くらいのパーツが必要になりました。
型紙をつくる
 
 
 
革で作る前に、型紙を切り出して組み立ててみました。
紙で作ってみることで、うまくいきそうにはない設計だと気づいたのでボツにしました。
 
「設計図2個はボツにしたわ。その結果、これならうまくいきそうだと思えた設計図で
今回の試作品を作ることにした。うーん財布ってむずかしいな」
型紙をもとに試作品を紙で作る
 
 

パーツの共通準備

今回の財布は以下6つのパーツで組み立てました。
①中央パーツ、②右側コインポケット上部パーツ、③左側カード収納パーツ、
④右側コインポケットパーツ、⑤紙幣中仕切りパーツ、⑥表革パーツ
 
以下で上記①~⑥の共通準備の様子を説明します。

革に転写と裁断

設計図のなかで、革でつくる部分の型紙を金属板の上に乗せた革の上に置きます。
型紙の上に磁石を乗せて、型紙がずれないようにしたうえで、
型紙の輪郭を目打ちでなぞって革に転写しました。
※写真には写っているほかに、表革パーツ用の革も必要でした。
型紙を革に転写
ユキ

関連記事>>>楽に型紙を転写する方法

 
 
輪郭を転写するときに、型紙段階でつけておいた縫い穴の位置も
目打ちで一つ一つ刺すことで転写しました。
縫い穴の目印を革につける
 
 
転写した輪郭に沿って別たちで裁断しました。
 
 

重ねあわせ部分を薄くする

切り出した革のうち、重ね合わせる部分の端を別たちで薄くそぎ落としました。
革の端を薄くそぎ落とす
革の端をそぎ落としていくうちに、
別たちの切れ味が落ちたら、革砥(革砥)にこすり付けて切れ味を戻しています。
「切れない刃物で作業をするのはストレスだから革砥があって便利だわ~」

ウラ面(トコ)の処理

切り出した革のウラ面はボソボソしていたので、
トコノールを塗って、ガラス板で伸ばしました。
「思えば、切り出す前にこの作業を行ったほうが楽だったかも。。。」
ウラ面にトコノールを塗る

 

各パーツ製作過程1

①中央パーツと②コインポケット上部パーツを内側台座に縫い付ける

③カード収納パーツ、①中央パーツ、④コインポケットパーツと②右側上部パーツは
最終的にナイロン生地の内側台座に縫い付けます。
 
まず、①中央パーツとその下側に縫い付けることになる②右側上部パーツを
内側台座パーツに接着剤(G17ボンド)で位置をあわせます。
 
「G17ポンドは初めて使ったけど、
両面に塗ってからボンドが完全に乾いてからくっつければいいから、
時間的に余裕があって作業が楽だな。でもちょっと匂いがきになるな。」
台座に中央部分をつける
 
 
接着剤で貼り付けた後に、糸で縫いました。
さらに、縫った糸の上から目打ちの後ろを押し付けて、糸の出っ張りを平らにしました。
「飛び出ている糸にカードが引っかかって出し入れがしづらいのはいやだからね」
※中央パーツの左側以外の端部分はこの段階ではまだ縫っていません。
縫い板の出っ張りをなくす

③カード収納パーツ作成

カード収納パーツを作成した様子を説明します。
 
財布が厚くならないようするために、
一見して見える部分は革で、見えない内部はナイロン生地でつくる計画です。

革とナイロン生地を張り合わせる

革とナイロン生地の重なる部分に接着剤(G17)を塗って仮留めしました。
※G17を塗る道具は、割り箸をカッターで尖らせたものを使ってみました。
革と布地に接着剤をつける
 
 

縫い穴を開けて縫う

仮止めした状態で、革側から菱ギリを刺して
しっかり縫い穴をあけてから糸で縫いました。
 
これでカード収納パーツの1つができました。
この収納パーツを3つつくりました。
縫い穴をおおきくする
 

革の端(コバ)の処理を行う。

カード収納パーツは縫い付けた後では端(コバ)の処理が出来ないので、
この段階で処理を行うために、
 
まず、革の端(コバ)を爪の甘皮きりで切り落としました。
革の端を切り落とす
 
次に、革の端(コバ)を以下の方法で磨きました。
スポンジにエタノール水(100均のレジンクリーナー)を1滴ほど含ませます。
スポンジにエタノールをつける
 
スポンジに含ませたエタノール水を革に付けて濡らします。
エタノールを革につける
 
エタノールが揮発して乾いた後に
スポンジ型研磨剤で磨いて滑らかにします。
スポンジで削る
 
手で触って満足する滑らかさになったら
最後にトコノールを少量つけてこすることで
コバを光らせました。
 
この作業をすべてのコバに対して行いました。
 

内側台座の左側にカード入れパーツを縫い付ける

カード収納パーツを組み立てていきます。
 
まず、中央パーツの上に上記で作成したカード収納パーツの1つを乗せて、
カードの出し入れ口に対して両端を接着剤で仮留めしました。
左カード部分をつける
 
 
そして、カード入れの下部に穴を等間隔に開けてから縫いました。
「今思えば、この部分を縫うときはミシンでも良かったかも。。。」
カードいれを固定する縫い穴をつける
 
この調子で、残りの二つのカード収納パーツを縫い付けました。

カード収納部分の上部を内側台座に縫いつける

3つめのカード収納パーツを内側台座に縫い付けた後、
一番左上に被せの革を接着剤で仮留めします。
 
最後に、上部の革とナイロン生地の内側台座を右端から左端にかけて
縫い付けました。
※このとき、革と革が隣り合う部分は針を二回繰り返して通すことで
強度を高める工夫をしました。
ただし、そのために途中で糸が足りなくなったので、継ぎ足す必要がありました。
「二重に縫う部分がある場合は糸は普段より長めに取っておかないといけないな」
上部を縫う
ちなみに、このときは上部だけを縫うまでで止めておきました。
両端と下部は後で表革パーツと一緒に縫い付けます。
 
 

各パーツ製作過程2

③コインポケットパーツ作成

いよいよ、今回の財布で一番の難所だったコインポケットの製作過程を説明します。
 
このコインポケットパーツはファスナーをL字型に取り付けた後で、
先ほどのカード収納パーツを縫い付けた内側台座に抜いつける計画です。

コインポケットパーツを作る(台座部分)

まず、ファスナーをコインポケット台座である革の表面に接着剤で仮留めしました。
コインポケットにファスナーをつける
 
 
ファスナーの右端を折りたたんだ状態で、
コインポケット内布パーツ(ナイロン生地)を接着剤で仮留めします。
ファスナーに裏地をつける
 
 
ファスナーの下側の端は写真のように、スライダーを左に寄せた状態で折りたたんでいます。
※ファスナーが長かったので、余分な分はカットしました。
ファスナーの端の処理
 
マチパーツを内部に置いて、コインポケットの内側から
内布やマチパーツごと縫い穴を等間隔に開けます。
ファスナーを縫う穴を開ける
 
上部と左部分を縫い付けます。
※右端は表革と一緒に縫う計画なので、この段階では縫っていません。
ファスナーを縫う
 

コインポケットパーツを作る(開閉部分)

次は、コインポケットの開閉部分を作りました。
上記でコインポケット台座に取り付けた内布パーツの反対側に
開閉部分の革を接着剤で仮留めします。
ファスナーは上記と同様に端を折りたたんで革と内布の間に収めました。
コインポケットを表革につける
 
上記で台座ごと縫い付けたマチパーツと一緒に
開閉部分の革の表側から等間隔に穴を開けて
開閉部分の革、内布パーツ、マチパーツを縫い付けました。
コインポケットに表革を縫い付ける
 
これで、コインポケットパーツは完成です。

コインポケットパーツを内側台座に縫い付ける。

上記で完成させたコインポケットパーツをナイロン生地の内側台座パーツに縫い付けました。
 
「幅が狭くてきれいに縫えなかった。。。思ったけど、上部パーツとコインポケット台座を別に分ける必要はなかったな。もっといえば中央パーツとも分ける必要はないかも。。。」
コインポケットを本体に取り付ける
 
 
 
 

④紙幣収納パーツの中仕切りをつくる

難所は切り抜けたので、小休止がてら
簡単な紙幣部分の中仕切りパーツの製作過程を説明します。
 
中仕切りパーツはほぼナイロン生地で作成し、
強度を足すために、手を出し入れする上部だけは
薄くそいだ革でナイロン生地を挟み込む計画です。
 
中仕切りと同じ幅の革を折り返せるくらい薄くしてから
ナイロン生地上部を挟み込んだうえで
縫い穴をあけて縫うことで革とナイロン生地を一体化しました。
紙幣収納パーツ中仕切りをつくる

⑤表革パーツを内側パーツ、中仕切りパーツとともに縫う

いよいよ仕上げです。
ここまで作ってきた内側台座パーツ、中仕切りパーツを表革パーツと一体化させます。
 
 
内側台座パーツ、中仕切りパーツ、表革パーツの端部分に接着剤を塗りました。
※ただし、財布をたたんだときの遊びを生むために、
中央部分は縫わないので、接着剤も付けない。
内側パーツ台座に接着剤を塗る
 
とりあえず、内側台座パーツ、中仕切りパーツ、表革パーツのそれぞれの左端を揃えます。
そして、左端から下部の中央手前まで縫い進めました。
表革パーツに接着剤をつける
 
中央部分を縫うときは、
中仕切りパーツと表革パーツは縫い付けないように気をつけながら、
内側台座パーツだけを縫いました。
「ここを勢いあまって縫ってしまうと財布が開かないって悲しいことになる。。。」
中央部分を縫うとき
 
中央が終わったら、右側の内側台座、中仕切りパーツ、表革パーツの右端を揃えます。
そして、左側同様に右側を縫って完成です。
 
 

試作品を作ってみての感想

実際に作ってみて感じたことは、
○ 出来栄えはともかくとして、革財布を手作りできたことに感動した。
 
○ 試作品を革で作ることで、型紙段階ではわからないことにも気づけたので、今後は複雑な作品は革で試作品を作ろうと思った。
 
いろいろ反省点はあるけど、作ってよかったです。
この反省を活かして、実際に使用する財布を作ろうとおもいます。
 
 
おしまい。最後まで読んでくれてありがとう。
 
 
 

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