革製 ミニ リュック の作り方 ~型紙公開~

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こんにちは。みどりです。
今回のレザークラフトでは ミニ リュック を作りました。 作ってみての反省点を記事にすることで、参考になれば幸いです。

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サドルバックに入るサイズの リュック が欲しい

ユキ

自転車で走るときに、リュック を背負っていると背中が暑いのを何とかしたいよ。

ココ

リュック はサドルバックにいれて自転車に持たせましょう。

エン

サドルバックには大きなものは入らないから、専用の 小さな リュック を作ろうぜ。

今回の ミニ リュック は、以前の記事で紹介した自転車のサドルバックに入れるためのものです。

この リュック とサドルバックをセットで使用することで背中フリーの快適な自転車ライフを送る計画です。
そして、これが完成した ミニ リュック です。

革製ミニ リュック
ミニ リュック

完成した ミニ リュック をサドルバックに入れた様子です。

サドルバック
サドルバック と ミニ リュック

サドルバッグを作ったときの様子は以下の記事にまとめています。興味のある方は合わせてどうぞ。

制作意図

以下の機能を持つように作りました。
○ 自転車のサドルバックに入る大きさであること
サドルバックに入れるために リュック 本体のサイズは縦22cm×横12cmくらいにしました。

見た目がスッキリしておしゃれであること
前面を緩やかなAラインシルエットにすることと側面を三角形型にすることで リュック 上部を小さくしてスッキリさせたデザインにした。さらに、クラシックな感じにするために、フタを止める部分には尾錠を用いました。

ものの出し入れがしやすいこと
フタの留め具である尾錠は開け閉めがしづらいので、背面にファスナーをつけて物の取り出しを行う。さらに取り出しやすくするために片マチをとりつける。

リュック を背中からおろして手で持つときに持ちやすいこと
持ち手がフニャフニャ柔らかいと持ちにくいと感じていたので、腕が通るくらいの大きさのプラスチック製リングを持ち手にしました。

また、レザークラフトの技法の実験として、以下のことも試みました。
革製の リュック をつくる。
革製の リュック をつくることは、レザークラフトの目標の一つだったので挑戦しました。

以前に 革と帆布 の リュック を作ったことがあるので、その経験も活かしながら作りました。
そのときの様子を記事にまとめています。興味のある方は合わせてどうぞ。

反省

実際に作ってみて、以下のような反省点がありました。
○ 前面パーツと側面パーツの革を2枚重ねて折り曲げたコーナー部分では、内側となる前面パーツの革の厚さが邪魔で綺麗に曲がらなかった。
その対応として前面パーツのコーナー部分に切り込みを入れる必要があった。

前準備

型紙つくり

リュック の型紙はお絵かきソフトのGimpで作りました。
作っては印刷・組み立てを行って修正をしていきました。
この試作品たちがあるおかげで、途中で挫折せずにすみました。
「 リュック が完成するまで、この試作品は捨てがたいな。でも部屋を圧迫して困るよ。だったら リュック を早く完成させよう」

リュックの試作品
ミニ リュック の試作品

構造の説明

制作の様子を紹介する前に、今回の ミニ リュック の構造をイラストで説明します。
全体は以下の6つのパーツで構成されています。

①底面パーツ
・側面側を長くしてあり、側面との縫合面が前面や背面のそれより上に位置するようにしています。

②側面パーツ2枚
・側面の長さは前面や背面より短くしてあり、底面との縫合面が前面や背面のそれより上に位置するようにしています。

③前面パーツ
・前面パーツの上部にはギボシを取り付けてあり、荷物が少ない時には背面に取り付けた肩ひも固定帯からのばしたベルトをこのギボシに留めることで開口部を狭く閉じることができるようにしています。

④フタパーツ
・フタの開閉はフタに取り付けた剣先と前面に取り付けた尾錠で行います。

⑤肩紐パーツ
・肩紐ベルト上部はプラスチックの持ち手リングを取り付けてあり、この持ち手リングは肩ひも固定帯パーツに取り付けています。
・肩紐ベルトの下部は背面パーツに設置した肩ひも終端三角部品(根革っていうのかな?)に取り付けます。

⑥背面パーツ
・背面に片マチ付きの取り出し口を設けて、開閉はファスナーで行います。
・フタパーツと背面パーツは肩ひも固定帯パーツをかぶせて固定しています。

材料

材料は以下のものを使用しました。

革(部位:ベリー、厚さ1.0~1.4mm)A4サイズ1枚
革(部位:バット、厚さ1.0~1.4mm)A4サイズ4枚
ギボシ(6mm頭)2個
尾錠 (内寸20mm) 1個
四角環(内寸20mm)1個
ファスナー(14cm)1個
プラスチック製リング(内径90mm)1個
革テープ(170cm長、30mm巾、2.0mm厚)1個

ちなみに、今回用意した革は以下のネットショップ(yahooショッピングのストア)で購入した「スムース A4 ベリーとスムース A4 バッド 」を使用しました。

ミニ リュック の制作の様子

それでは、制作の様子を紹介します。
最初に部品を作ってからそれを合わせてパーツとします。
最後にパーツ同士を合体して ミニ リュック を完成させます。

部品制作

なにはともあれ、初めに部品となる革を型紙通りに切り出します。
このとき、側面パーツ用の型紙は柔らかい部位であるベリーの革の上に置きます。他の部品は固い部位であるバットの革の上に置きます。
「 リュック が完成したら側面は折り畳んだ状態になるので、固い部位だと割れちゃいそうだから、柔らかいベリー部分を使おう。用途に合わせて部位を選ぶようになるなんて、すこしは知識がついてきたかな。」

革の表面にコピー用紙に印刷した型紙をのせて、磁石で固定します。
型紙の端を目打ちでなぞって革にかるく傷をつけることで型紙を転写します。
このとき、縫い孔位置も転写するために、目印の点を目打ちで刺すことで転写しておきます。

部品を切り出す

転写した型紙の位置通りに革包丁を用いて革を切り出します。
切り出したら、コルクボードの上に置き、縫い孔の目印を菱切りで刺してひし形の縫い孔を開けていきます。

パーツ制作

それでは6つのパーツをそれぞれ作っていきます。

①底面パーツの制作

底面パーツは型紙から切り出したまま使用します。

②側面パーツの制作

側面パーツも型紙から切り出したまま使用します。

③前面パーツの制作

前面パーツは切り出した前面部品の中央にフタを止めるための尾錠留めを、上部に開口部を閉じるためのギボシを取り付けます。

最初は尾錠留めをつくります。
写真のような尾錠留め部品を切り出し、その中央に尾錠を取り付けるための孔を開けます。

尾錠留め
尾錠留め部品をつくる

革部品に尾錠を通したら、革部品を中央で折り曲げ、両端同士を接着剤でくっつけます。
「くっつけるときに、縫い孔がズレると嫌なので、縫い孔に針を刺して位置合わせしながら接着したよ。」

尾錠留め
尾錠をとりつける

次に、開口部を閉じるための、ギボシを部品に取り付けます。
「ギボシは力がかかる部分なので、ギボシを取り付けた部分が裂けるかもしれないから、前面部品に直接取り付けないで、パッチ部品をかませることで、前面部品の破損を避けようと思う。万一にパッチ部分が裂けても取り外して交換できるようにね。」

ギボシとりつけ
ギボシをパッチ部品にとりつける

最後に、作った尾錠留めとギボシをつけたパッチ部品を前面部品に縫い付けます。

前面パーツ
前面パーツにギボシと尾錠留めをとりつける

④フタパーツの制作

次に作るフタパーツには、フタを尾錠に固定するための剣先と、フタパーツを背面パーツに固定するための肩紐固定帯を作ります。さらにこの肩紐固定帯には、持ち手となるリングを取り付けます。

まずは、剣先を作ります。
型紙通りに切り出した剣先部品に尾錠のピンを止める孔を開けていきます。

剣先つくり
剣先をつくる

ちなみに、孔を開ける道具はスクリューポンチをつかいました。
ポンチのようにハンマーで打つ必要がないので音が出なくて気軽でいいです
スクリューポンチの使い方は以下の記事にまとめてありますので、興味のある方はどうぞ。

そして、作った剣先をフタパーツに縫い付けます。
剣先の裏とフタパーツの接着面の両方をやすりで荒らしてから接着剤をぬって貼り付け、乾いてから糸で縫い付けました。

フタパーツに剣先取り付け
剣先をフタパーツに縫い付ける

つぎに、フタパーツを背面パーツに固定するための肩紐固定帯を作ります。
切り出した肩紐固定帯の上部を折り返して持ち手リングを取り付けます。

今はここまでの作業として、後ほど背面パーツもできてからこの肩紐固定帯を取り付けていきます。

持ち手リングのとりつけ
肩紐固定帯に持ち手リングを取り付ける

⑤肩紐パーツの制作

次に、肩紐パーツをつくります。
肩紐は市販の革ベルトを必要な長さ切って使います。(肩紐の長さ調節は最後に行うので、このときは必要な長さより革ベルトを少し長めに切っておきます。)このリュックは自分だけが使う予定なので、長さ調節機能はつけないで軽量化を図りました。

ここで、革ベルトは買ってそのまま使うのではなく、ピュアホースオイルを両面に塗って汚れ防止と多少の柔らかさを待たせます。
「これまでの経験上ヌメ革を素手で触るとシミがついて嫌な思いをしたので、ベルトならなおさら手で触るだろうし、汚れ防止のための策は必要だよな。ピュアホースオイルなら多少柔らかくもなるし、塗っておこう。」

ピュアホースオイルが乾いたら、ベルトの裏と端から飛び出た繊維を削ってトコノールで磨いておきます。

肩紐の準備
革ベルトにピュアホースオイルを塗る

ピュアホースオイルについては以下の記事で取り上げていますので興味のある方は合わせてどうぞ。

続いて、肩紐の下部分を背面パーツに取り付けるための肩ひも終端三角部品をつくります。
これをかませないで肩紐を背面パーツ下部に直接取り付けてしまうと、 リュック を背負ったときに リュック と背中の間に空間ができてしまってオシャレじゃないので、 リュック を背中に密着させるためには地味だけど必要な部品です。

切り出した部品は折って使うので、折りやすいように裏面の中央に彫刻刀の三角刀で溝を掘っておきます。
それから、背面パーツに縫い付ける部分は表面をやすりで荒らしておきます。

肩紐用三角部品
肩ひも終端三角部品をおるための溝を掘る

肩紐下部を三角に切ってから、肩ひも終端三角部品を挟み込むようにして縫い付けます。
こうして作った肩紐終端三角部品は、この後の組み立て工程で使います。

肩紐と三角部品の合体
肩紐下部にひも終端三角部品を縫い付ける

⑥背面パーツの制作

次に、背面パーツをつくっていきます。
切り出した背面パーツの部品の左側にファスナーとりつけ用の縦窓を開けます。そして、片マチをとりつけるための切り込みを横に入れておきます。

背面パーツきりだし
切り出した背面パーツとファスナー用の縦窓

上記の縦窓に取り付けるために、ファスナーの端に接着剤を塗って、縦窓にくっ付けます。

ファスナー準備
ファスナーの取り付け準備

さらに、くっつけたファスナーの上に被せる様に、裏面から片マチ2枚を中合わせ状態にしてファスナーの上に乗せます。このとき、それぞれの片マチの縫い孔位置と背面パーツの部品の縫い孔位置を合わせておきます。

ひだつくり
ファスナーと片マチ2枚の配置の様子

そして、下側の片マチ→ファスナー→上側の片マチの順に背面パーツの部品に一周縫い付けていきます。

ファスナーとりつけ
片マチとファスナーを取り付ける

パーツ組み立て

各パーツができたので、いよいよパーツ同士を合体させて組み立てていきます。
ただし、縫い進めるごとに手を入れるスペースが減っていくので、合体させる順番を間違うと難易度が跳ね上がります。そこで、これまでの経験から培った簡単にできる以下の順番で行った行きます。
「レザークラフト始めた頃は考えなしに組み立てて、最後に底を縫おうとしてめちゃくちゃ苦労したわぁ。手を入れることを考えて組み立てないとな。」

背面パーツとフタパーツの合体

最初に、背面パーツとフタパーツを合体させます。
背面パーツの上部にフタパーツを被せていきます。
縫い孔位置がズレない様に針で固定しながら接着剤を塗って接着します。

背面パーツとフタパーツの合体
背面パーツとフタパーツの合体

続いて、先ほどのフタパーツの上に肩紐固定帯を乗せて合体します。
同じ要領で接着剤を塗ってから、乾いたら糸で縫って固定します。

持ち手リングの合体
フタパーツと肩紐固定帯の合体

底面パーツと前面パーツの合体

次に、底面パーツと前面パーツを合体させます。
底面パーツのオモテ面の上に、前面パーツの下側を中合わせ状態にして乗せます。
縫い孔位置合わせのために、中央→左右の順に仮紐を結んで仮固定します。(針だと抜けやすかったので、仮紐でしっかり仮固定しておきました。)
位置が大丈夫であれば、いつものように接着剤と糸で固定します。
このとき、コーナーの縫い孔1つは残しおいて糸で縫いました。

底面パーツと前面パーツの合体
底面パーツと前面パーツの合体

底面パーツと側面パーツの合体

次に、底面パーツに側面パーツそれぞれを合体させます。
前面パーツを合体させた同じ要領で底面パーツに側面パーツを縫い付けました。
縫い終わったら、オモテ面を上にして、縫い合わせ部分を軽く押すことで折り目を付けておきます。

底面パーツと側面パーツの合体
底面パーツと側面パーツの合体

底面パーツと背面パーツの合体

次に、底面パーツと背面パーツを合体させます。
前面パーツを取り付けたのと同じ要領で中央の縫い孔を合わせながら、接着剤と糸で固定しました。

底面パーツと背面パーツの合体
底面パーツと背面パーツの合体

前面パーツと側面パーツの合体

次に、前面パーツと側面パーツを合体させます。
リュック 開口部の縫い孔が合うように、開口部側から順に仮紐を結んで仮固定しておきます。
「下から縫い進めて、最後に開口部がズレていたなんてことになったら嫌だから、そうならないために、開口部から位置を合わせておこう。」

前面パーツと側面パーツの合体
前面パーツと側面パーツの合体

仮固定が済んだら、底面のコーナー側から、前面パーツと側面パーツを縫い付けていきます。
前面パーツが切り込み部分から折れ曲がって、その上を側面パーツが被さるように縫っていきます。
「このコーナーを縫うのは難しいな、試作品の紙とは違って革の厚さが内側に曲げるのを難しくしているな。設計では切り込みはなかったけど、革がまがらないので内側になる前面パーツに切り込みをいれることにするわ。」

底の曲線部の縫合
前面パーツと側面パーツのコーナー部分の縫い付け

背面パーツと側面パーツの合体1

次に、背面パーツと側面パーツを合体させます。
と、その前に、
いままで中表状態で作業していたので、この段階で革のオモテ面が外側になる様にリュックをひっくる返します(裏返す)。
革が傷つかないよう程度に力をかけながら、ひっくり返していきます。
「けっこう力をいれないとひっくり返りそうにないので、傷つけそうで怖いな。」

裏返す
オモテ面を外に向けるように、ひっくり返す。

さらに、背面パーツと側面パーツを合体させるまえにやっておくこととして、
背面パーツ側に肩ひも終端三角部品(と肩紐)を接着剤で固定します。

三角部品の位置合わせのための仮縫い
背面パーツに肩ひも終端三角部品を固定する

いままでと同じ要領で、縫い孔位置がズレない様に仮紐で固定してから、下部のコーナー部分から縫い付けていきます。
この際、背面パーツのファスナーを付けていない側から縫い付けることで、最後の縫い付け作業がしやすくなります。

三角部品の縫合
背面パーツと側面パーツの合体(ファスナーのない側)

背面パーツと側面パーツの合体2

最後に、残りの背面パーツと側面パーツを合体させます。
先ほどと同じ要領で縫い付けていくのですが、手を入れるためにファスナーを開けて、そこに手を入れて縫っていきます。
狭くて手の自由が利きにくい難所です。

背面パーツと側面パーツの縫合
背面パーツと側面パーツの合体(ファスナーがある側)

肩紐パーツの長さ調整と取り付け

いよいよ完成目前です。
最後に、肩紐を取り付けます。
肩紐部品を作る際に少し余分に長くしていたので、自分の背中に合わせて長さを決めて、余分な分はカットします。
肩紐の上端を持ち手リングにとおして、端を折り返して縫い付けて固定します。

肩紐パーツの長さ調整

完成

やったー、ミニ リュック の完成です。
前面はシンプルでいい感じだし、フタで隠れた位置にある前面のギボシによって開口部をすぼめることができているので見た目が綺麗にみえて満足です。

完成
ミニリュックの完成(前面側)

背面側からはファスナーと片マチがあることでフタを開けなくても物が取り出せて楽です。

完成 背面側
ミニリュックの完成(背面側)

作った ミニ リュック を使用してみての感想

自転車で走行するときに、 リュック をサドルバックに入れて、背中フリー状態で走れるのは想像通りに快適でした。
ただし、 リュック 自体がサドルバックに入るミニサイズなので、そんなに多くの物は入らないのが難点かな。
その点を差し引いても、見た目も気に入っているし、作ってよかったなと思います。 

おしまい。最後まで読んでくれてありがとう。

ミニ リュック の型紙公開

興味のある方のために型紙を無料で公開します。  

ただし、注意点として以下の事項を守ってください。
・個人の方が趣味の範囲で使用してください。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
・型紙に5cmの縮尺を掲載してありますので、印刷後に縮尺が正しいかを確認してからご使用ください。

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