2枚の革を接着した場合に境界面に出る黒い筋を無くしたい
革を二枚重ねしたときのコバもうまく磨けば、まるで一枚の革に見えるようになるらしいわ。
実際にやってみると、2枚の革の境界面に黒い筋ができて、磨いても一枚の革には見えないわ。何とかならないかしら。
うーん、ちょっと手間だけどいろいろ条件をかえて黒い筋がなくなる方法をしらべようか。
こんにちは。みどりです。
今回は2枚の革を接着した場合にコバの中央にでる黒い筋を無くすにはどうしたらいいかを見つけるために試行錯誤しました。
試行錯誤の結果を記事にすることで、参考になれば幸いです。
試行錯誤の内容
以下のことを試しました。
○ 接着剤を塗るときに、コバに対して平行に塗る場合とコバに対して垂直に塗る場合の比較
○ 接着剤の使用量が、少量の場合と多量の場合の比較
○ 革が伸びる方向に対して、コバが平行な場合とコバが垂直な場合の比較
○ コバを磨くときに、濡らした状態で磨く場合と乾いた状態で磨く場合の比較
※接着剤はサイビノール100を使用しました。
結果
上記の比較をした結果、以下のことがわかりました。
○ のりを塗る方向は影響しない。
○ 接着剤が多いと、接着した境界面に黒い筋が太く出来る。
○ 革が伸びる方向に対するコバの方向は影響しない。
○ コバが濡れている状態で磨いた場合の仕上がりはくすんだ色となる。
○ コバを濡らした後、乾いた状態で磨くと鮮やかに光る。ただし、その分境界面の黒い筋が見えやすくなる。
○ へりを落とす際に、接着面を頂点とする山がとがった状態になるようにへりをおとすと、境界面の黒い筋が目立たなくなる。
○ 上記の比較結果を試しても、うまくいかない革もある。
試行錯誤の過程
1.接着剤を塗るときに、コバに対して平行に塗る場合とコバに対して垂直に塗る場合の比較
ネット上で接着剤を塗る方向が大事という情報を得たので、実際に接着剤をコバにたいして平行に塗った場合とコバに対して垂直に縫った場合をやってみました。
※接着剤はサイビノール100を使用しました。
○ はじめに、接着剤をコバに対して平行に塗った場合
いままで何気なくやっていた方法なので、慣れているせいか接着剤は塗りやすいです。しいていえば、コバの近くに接着剤が厚く残りやすい方法といえます。
接着剤をコバに対して平行に塗った場合のコバ
○ 次に、コバに対して垂直に縫った場合
用意した革が小さいせいか、接着剤は塗りにくいです。革を押さえる手に接着剤がつきやすい。しかし、コバ近くに塗る接着剤の量は少なくしやすい方法といえます。
接着剤をコバに対して垂直に塗ってている様子
接着剤をコバに対して垂直に塗った場合のコバ
○結果
それぞれの方法で出来た2枚重ねの革のコバをそれぞれ磨いた結果は、あまり違いは見られなかったです。どちらも目立つような黒い筋は出来なかったです。
つまり、接着剤を塗る方向はコバに出来る黒い筋には影響しないといえます。
2.接着剤の使用量が、少量の場合と多量の場合の比較
おそらく、境界面にできる黒い筋の正体は接着剤じゃないかと思ったので、塗る接着剤の量を変えて比較しました。
結果として、貼り合わせる面にうっすらと乗せる程度の少量の場合とどっぷりと乗せる過剰量の場合の磨いた後のコバを見比べると、少量の接着剤の場合は目立つ黒い筋は出来なかった。一方で、過剰量の接着剤を塗った場合は太く目立つ黒い筋ができました。
つまり、接着剤が多いと接着した境界面に黒い筋が太く出来ることがわかりました。
接着剤の量をかえて比較(上:少量、下:過剰量)
少量の接着剤の場合のコバ(上)と過剰量の接着剤の場合のコバ(下)
ちなみに、黒い筋が出来た場合の対処としては、
ヘリを落とす際に、コバの山が鋭角になるようにヘリを多めに落とすと黒い筋が目立ちにくくなりました。
コバの山を尖らせるようにへりを落とした場合
イラストで説明すると、
コバの山が緩やかになるようにヘリを落とすと、黒い筋の周りの革の色との対比によって黒い筋が協調されて見える。
その一方でコバの山を尖らせるようにヘリを落とすと黒い筋の周りに革が少ないため、肉眼で見たときに黒い筋と革の厚さが同じように見えるので、黒い筋が目立たなくなりました。
「でも、まぁ、最後の手段だな~、目標は黒い筋ができないようにしたいんだから。」
3.革が伸びる方向に対して、コバが平行な場合とコバが垂直な場合の比較
革には引っ張ったときに伸びやすい方向があって、もしかしたら革の伸びる方向に対するコバの方向も影響するのではないかと思ったので、革の伸びる方向にたいして平行な方向と垂直な方向のコバを磨いてみました。
結果として、あまり違いは見られなかったです。
つまり、革の伸びる方向とコバの方向は黒い筋には影響しないといえます。
革の伸びる方向と平行なコバと垂直なコバの比較
4.コバを磨くときに、濡らした状態で磨く場合と乾いた状態で磨く場合の比較
いつもコバを磨くときは、コバに水をつけて濡らしてから磨いています。一度水で濡らすことで革の繊維が硬くなるので、デコボコを削りやすいからです。
そこで、濡らしたまま磨く場合と濡らしたあとに乾かしてから磨く場合でも違いがあるのではと思ったので比較しました。
コバを水で濡らす様子
○ 水で濡れた状態で磨いた場合
水で濡らした後、スポンジ研磨材(3M製ジグソーパズル型#320~600)でデコボコを削り、その後、トコノールをつけて磨きました。
結果は、コバの色に対して、すこし黒ずんだ状態になりました。ただ、黒い筋は目立たなくなりました。
濡れた状態で磨いている様子
濡れた状態で磨いたコバ
○ 水で濡らしたあとに乾かしてから磨いた場合
水で濡らした後、乾くまで待ってからスポンジ研磨材でデコボコを削り、その後、トコノールをつけて磨きました。
結果は、コバの色に輝きがプラスされたような状態になりました。ただ、輝くようになった反面黒い筋は目立つようになりました。
濡らした後に乾いてから磨いている様子(削ったところが白っぽくなる)
濡らした後に乾いてから磨いたコバ
比較した結果、濡れた状態で磨くと黒っぽくなるが黒い筋は目立たなくなる。一方で乾いた状態で磨くとコバの色に輝きがプラスされるが黒い筋は目立つようになることがわかりました。
5.いろいろな革で試した結果
ちなみに、手持ちのいろいろな種類の革でも試してみました。
結果は、綺麗にコバを磨ける革がある反面、うまく磨けない革もありました。傾向としては、革が引き締まっている場合はコバが磨きやすく、一方で、やわらかくふわふわしているような革はコバがうまく磨けなかったです。
つまり、コバがうまくいくかどうかは革の種類にも影響されることがわかりました。
いろいろな種類の革でコバを磨いた結果
まとめ
今回の試行錯誤をした結果、今後作品を作る際は以下のようにしようと思います。
○ 作品に取り掛かる前に、革の端を使って、コバを綺麗に磨ける革なのかをチェックする。
○ のりを塗る際は、出来るだけ薄く塗る。
○ コバを磨く際は、濡らした後完全に乾いてから磨く。
こば磨きは奥が深くて、まだまだ探求することがありますが、今回はココまでを記事にしました。
また、試行錯誤をしたら記事にしようとおもいます。
おしまい。最後まで読んでくれてありがとう。
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