自転車用の革製 裾バンド の作り方
こんにちは。みどりです。
今回のレザークラフトは自転車に乗ているときに、ズボンの裾がチェーンに巻き込まれないようにするために足首に巻く『 裾バンド 』(アンクルバンド、レッグバンドなどともいう)を作りました。 作ってみての反省点を記事にすることで、参考になれば幸いです。
おしゃれな 裾バンド が欲しい
ズボンの裾が自転車のチェーンに触れて汚れてしまったよ(泣)
裾バンド を着けようかしら。どうせならお洒落なのがいいわ
革でつくればお洒落なものができるさ。さぁつくろう。
これが完成品です。
裾バンド の中心には形を保つために、芯材として電源コードを束ねるためのプラスチック板が入っていて、それを革レースを用いてトリプルクロスステッチをあしらいながら革に固定してあります。
また、ギボシを用いることで足首の太さに合わせて長さ調節できるようにしました。
ちなみに、白バージョンと黒バージョンを作ってみました。
「なんとなく白色のほうがおしゃれな感じで、黒色のほうがシックな感じかな。」
制作意図
以下の機能を持つように作りました。
〇 ズボンの裾を足首に固定できる
〇 服の厚さを含めた足首の太さに合わせて長さを調節できる
〇 巻いた時の形状を保つことができる
また、レザークラフトの技法の実験として、以下のことも試みました。
〇 革レースでトリプルクロスステッチを行う
反省
実際に作ってみて、以下のような反省点がありました。
① 革の繋ぎ目が真ん中だと目立つ
革のサイズが足りなかったので革同士をつなぎ合わせたが、その位置を裾バンドの真ん中にしたら、つなぎ目が目立ってしまっていた。改良点として、つなぎ目が端に来るようにしたい。
② ギボシの頭を通す孔が大きすぎる
ギボシの頭を通すように6mmの孔を開けたが、そんなに大きな孔をあけなくても4.5mm孔のそばに切り込みがあれば頭は通れそうだった。改良点として、4.5mm孔の傍に切り込みをいれるだけにとどめる。
③ 革レースが固い
革レースが固くて編みにくかった。改良点として、革レースにピュアホースオイルを塗って柔らかくしてから使う。
前準備
型紙&試作品つくり
まずは、アイディアを形にするために、お絵かきソフトのGimpを用いてざっくりとした型紙をつくり、それをもとにフェルトを使用した試作品をつくってみることにしました。
裾バンドの形を保つために芯材として電源コートを束ねるプラスチック棒をフェルト中心に置き、その上から3mm革レースを編み込んで固定してみることにしました。
ちなみに、芯材として使用したのは100円グッズ(seria)の『形状記憶コードバンド ロングタイプ』です。
とりあえず試作品ができました。
「革レースの幅が3mmだから孔の直径は3mmにするとして、孔と孔の間隔も3mmにしてみたけど、試作品の感じだともう少し間隔を狭くした方がいいような感じだな。まぁ、柔らかいフェルトを使ったから孔が広がっちゃって正確には分からないんだけどね。」
構造の説明
制作の様子を紹介する前に、構造をイラストで説明します。
土台となる革のオモテ面に芯材を置き、芯材の周りに革レースを通すための孔を開けています。
この孔に幅3mmの革レースをくぐらせながらトリプルクロスステッチを施します。
また、土台の革の両端にギボシと四角環を取り付けて、長さ調整が可能な留め具とします。
革の端がビラビラしないように游環(ゆうかん、ベルトループともいう)もつけておきます。
制作の様子
それでは、制作の様子を紹介します。
最初に白色の裾バンドを作り、その時の反省から改良して黒色の裾バンドをつくりました。
白色 裾バンド 制作
おおまかな制作の工程は
①型紙の転写から革の繋ぎ合わせ
②孔あけ
③四角環のとりつけ
④革レースでトリプルクロスステッチしながら芯材の固定
⑤游環取り付けとギボシの固定
となっています。
型紙の転写から革のつなぎあわせ
まずは、コピー用紙に印刷した型紙を革に転写します。
革のオモテ面の上に型紙を置き、その輪郭を目打ちを用いてなぞって引っ掻き傷をつくることで輪郭線を転写します。
その次に、孔の中心点を目打ちで刺して、孔あけ位置も転写します。
コピー用紙を革に固定する方法は以下の記事にまとめています。興味のある方は合わせてどうぞ。
関連記事>>>楽に型紙を革に転写するレザークラフトの方法
次に、転写した輪郭線に沿って、革包丁を用いて裁断します。
裁断が終わったら、革をつなぎ合わせます。
A4サイズの革だと作品に足して革の長さが足りなかったので、型紙の時点で作品を半分にしていました。その半分づつをつなぎ合わせます。
つないだ時の厚みを同じにするために、つなぎ合わせる部分の端をそれぞれ斜めにそぎ落としておきます。
そして、薄くなった端同士を接着剤(サイビノール100)を塗って固定します。
「つなぎ合わせる位置がズレたら全体がゆがみそうだから、糸で両端を仮止めしながら接着剤を塗ろう。これで孔の位置がズレないはず。」
孔あけ
革レースを編み込むための孔や、ギボシを取り付ける孔、そしてギボシの頭を通す孔を開けていきます。
まずは、革レース(3mm厚)を編み込むための孔をスクリューポンチを用いて開けていきます。
転写した型紙の孔位置を目印にして3.0mm刃装着したスクリューポンチを押して孔を開けていきます。
「こういう孔の多い作品をつくるときに、スクリューポンチは便利だわ。サクサク作業が進む~」
次に、ギボシ(6mm頭)を固定するための孔を 2.5mm刃で開けていきます。
続いて、ギボシで固定する革の端にギボシ留め用の孔を 4.5mm刃で開けていきます
最後にギボシの頭を通す孔を直径6mmのポンチで開けていきます。
「本当は全部の孔をスクリューポンチで開けられたら楽だったのに、スクリューポンチの替刃は5mmまでしかもっていなかったんだよね。仕方ないからポンチとハンマーで孔を開けたよ。」
ちなみに、スクリューポンチについての使用感は以下の記事にまとめています。興味のある方は合わせてどうぞ。
ギボシ固定用の孔にギボシの足を通してから、頭を回し入れて仮固定します。
ギボシ頭を通すための孔(6mm)と留め孔(4.5mm)をつなぐように切り込みを入れます。
「これで、6mm孔にギボシの頭を通したあと、4.5mm孔でギボシを留める予定だよ。」
四角環の取り付け
土台の革の反対側の端に四角環を止めます。
四角環を取り付けるための孔を開けるために、土台の革をコルク板の上においてから、菱切りを刺して孔をあけます。
そして、接着剤で固定してから針と糸で縫い付けます。
革レースの針への取り付け
革レースでトリプルクロスステッチをするための準備として、革レースを専用のレース針に通します。
レース針を初めて使用するので、袋の説明文を読みながら針にレースを取り付けたいと思います。
「え~と、レース先端をすいて斜めにカットし針穴に通す。っとさ。う~ん、とりあえずこんなもんかな?」
カットした先端を針穴に通してみました。
「あ~、ぜんぜん短いやん!」
カットした長さが短かったので、再度すいてカットしなおしました。
「よし、これならどうだ。けっこうカットしたよ。」
針穴に通してみました。
「おっ、良い感じかな。あとは針穴を通ったレース先端を針のバネっぽいところに挟んで使うよ。」
革レースでトリプルクロスステッチとレースの繋ぎ合わせ
開けた孔に革レースを通して、トリプルクロスステッチで編んでいきながら、芯材をくるみこんでいきます。
編み方の詳細は次の記事にまとめる予定です。興味のある方はしばらくお待ちください。
関連記事>>>トリプルクロスステッチの編み方(準備中)
編んでいるときはペンチで引き締めながら一目ずつ編んでいきました。
「なんか、革レースが固いんだよね。孔位置で曲げるときにやりずらいな。あと、うっかりレースの切り口で指の皮を切ったりして痛いよ。」
編んでいる途中でトラブル発生!!
「革レースの長さが足りなくなった!・・・まぁ、予想はしていたけどね。」
革レースの長さが足りなくなったので、革レースをつなぎ合わせることにします。
まずは、裏面の位置にある革レースにマジックペンを用いてカット用の目印をつけます。
数目ほどいて作業用の長さを確保してから、目印にあわせて革レースをカットします。
カットした箇所を薄くそいでから、新しい革レースを接着剤で固定します。
厚さを揃えるために、新しい革レースの端も薄くそいでおきます、
接着剤が乾いたら再び編み込みます。このとき、つなぎ目は背面に位置するようにします。
「うっかりレースのつなぎ目が表側にきたらダサすぎるな。」
これで、革レースをつなぎ合わせました。編みこみを再開します。
そして、最後まで編み込み終わったら、レース針を裏面の数目戻った位置にある網目に通します。その箇所に接着剤を押し入れて固定したら余分な革レースをカットします。
游環の取り付けとギボシの固定
仮固定していたギボシを一度取り外し、輪状に作っておいた游環を通します。
游環を通し終わったら、ギボシを取り付けます。このとき、ギボシの頭に接着剤を流しいれてから足に回しいれることで、容易に外れない様にしておきます。
白色の 裾バンド 完成と反省
これで、白色の裾バンドの完成です。
今の段階で、裾バンド(白色)を作った反省として、以下のことが上がったので、次に裾バンド(黒色)をつくるときに改良しようと思います。
① 革のつなぎ目が真ん中だと目立つ
革のサイズが足りなかったので革同士をつなぎ合わせたが、その位置を裾バンドの真ん中にしたら、つなぎ目が目立ってしまっていた。改良点として、つなぎ目が端に来るようにする。
② ギボシの頭を通す孔が大きすぎる
ギボシの頭を通すように6mmの孔を開けたが、そんなに大きな孔をあけなくても4.5mm孔のそばに切り込みがあれば頭は通れそうだった。改良点として、4.5mm孔の傍に切り込みをいれるだけにとどめる。
③ 革レースが固い
革レースが固くて編みにくかった。改良点として、革レースにピュアホースオイルを塗って柔らかくしてから使う。
黒色 裾バンド 制作
白色バージョン裾バンドの反省点を改良しながら黒色バージョンを作ります。
おおきな工程の流れは白色バージョンと同じです。
型紙転写から孔あけ
白色バージョンの型紙では革同士のつなぎ目が真ん中に来てしまっていたので、黒色バージョンではつなぎ目が端に位置するように型紙を改良しました。その型紙を切り出します。
次に、ギボシ頭を通すための孔は6mm&4.5mmではなく、4.5mmの孔の傍に2.5mmの孔をあけ、その2つの孔をつなぐように切り込みを入れる形にしました。
「ギボシの頭が6mmだから6mmの孔が必要ではないんだな。穴が4.5mmでも切り込みがあれば頭は通ったよ。ただ、切り込みだけだと強い力が加わると裂けてくるかもしれないから、2.5mmの孔を開けることで力が逃げるようにしてこう。」
革レースを柔らかくする
革レースを編み込むときに硬くて苦労したので、柔らかくするためにピュアホースオイルを塗ります。ついでに革に油分を補うことでひび割れも防ぎたいと思います。
ピュアホースオイルについては以下の記事で取り上げています。興味のある方は合わせてどうぞ。
関連記事>>>ヌメ革のお手入れクリーム比較~王道4種・代用品3種~
革レースで編み込みから仕上げ
あとは白色バージョンと同じ要領で革レースをトリプルクロスステッチで編み込んでいきます。
ちなみに、白色バージョン作成時に游環を作っている写真を撮り忘れたので、黒色バージョンのときの游環の作成風景をのせておきます。
黒色 裾バンド も完成
これで改良型の黒色裾バンドも完成です。
「やった~完成した。これでお洒落な自転車ライフを楽しめるぞ。」
使用してみての感想
実際につかってみた感想は
〇 多少の重みがあるので走行中も装着している感覚があるな
〇 足首にピッタリ装着しなくても意外とめくり上がってこないな
〇 ギボシと游環で装着するスタイルだと、着脱が少し手間だな
いろいろ反省点はあるけど、作ってよかったです。
おしまい。最後まで読んでくれてありがとう。
型紙公開
興味のある方のために型紙を無料で公開します。
ただし、注意点として以下の事項を守ってください。
・個人の方が趣味の範囲で使用してください。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
・型紙に5cmの縮尺を掲載してありますので、印刷後に縮尺が正しいかを確認してからご使用ください。