ベル型 ならぬスピーカー型革製 キーケース の作り方 ~ 型紙 公開 ~
こんにちは。みどりです。
今回のレザークラフトではベル型ならぬスピーカー型の キーケース を作りました。
これは漫画『呪術廻戦』が好きな友達へのプレゼントとして作りました。
作ってみての反省点を記事にすることで、参考になれば幸いです。
目次
釣鐘型 キーケース をアレンジしよう
呪術廻戦好きの友達のために狗巻君をモチーフにした作品を作ってプレゼントしたいぜ。
ベル型 キーケース をアレンジしてスピーカー型 キーケース にしたらどうだろう。
貰って喜んでもらえるような スピーカー型 キーケース を作りましょう。
友達が好きなキャラクター『狗巻 棘』君が持ち歩いているスピーカーをモチーフにしてベル型 キーケース をアレンジしてスピーカー型にしました。
「実用性としては鍵が1~2個入るけど、それよりは観賞用に近いかも。」
これが完成品です。
オモテ面には、漫画では1コマで解説されていた狗巻君の家の紋様である『蛇の目と牙』をレザーカービングであしらっています。
「われながら、なかなかにマニアックな模様をとりあげたな。気づく人は少ないだろうなぁ。」
ただ、制作後の2021年12月に公開された劇場版『呪術 廻戦 0』では牙のかんじが少し違う模様でした。
裏面は友達が好きなもう一人のキャラクターである『乙骨 憂太』君を連想させる『梅の花』をあしらいました。
「さらにマニアックだな。作中には梅の花はでてこないのに。ネタバレに近いけど、 乙骨君のゆかりの人は梅が好きらしいので。」
スピーカー型 キーケース の制作意図
以下の機能を持つように作りました。
〇 スピーカー型であること
〇 紋様が目立つこと
〇 鍵を1~2個収納できること
また、レザークラフトの技法の実験として、以下のことも試みました。
○ 厚さ1.5mmの革にレザーカービングを施す
ちなみに、レザーカービングに挑戦したときの様子は以下の記事にまとめています。興味のある方は合わせてどうぞ。(このときは厚さ4mmの革でレザーカービングに挑戦しました。)
反省
実際に作ってみて、以下のような反省点がありました。
- 厚さ1.5mmの革にスーベルナイフで切り込みをいれようとすると、底まで貫通しそうだった。
- スーベルナイフの代わりにデザインナイフを用いると、1.5mmの革でも輪郭線の切り込みを入れることができて、レザーカービングを施すことができた。
- 革を6枚重ねた部分に無理に針を通そうとすると、針が折れた。事前に目打ちを用いてしっかり縫い孔を大きくしておく必要がある。
前準備
型紙つくり
スピーカー型 キーケース の型紙はお絵かきソフトのGimpを用いてつくります。
スピーカー型 キーケース の構造の説明
制作の様子を紹介する前に、構造をイラストで説明します。
スピーカー型 キーケース にするために、以下の4つのパーツを組み合わせたものを2セット作ります。
①鍵収納パーツ
②拡声器パーツ1
③拡声器パーツ2
④持ち手パーツ
レバーナスカンを括り付けた鍵紐をこの2セットの間に挟んで、両端を縫い付けた構造をしています。
スピーカー型 キーケース 制作の様子
それでは、制作の様子を紹介します。制作工程は
工程①:鍵収納パーツの制作
工程②:拡声器パーツの制作
工程③:持ち手パーツの制作
工程④:組み立て
の順で行っていきます。
工程①:鍵収納パーツの制作
梅の花を レザーカービング であしらう
まずは、鍵収納パーツに模様が簡単な梅の花をレザーカービングで彫っていきます
カービングを施すために用意した革は厚さ1.5mmのヌメ革を用います。
「キーケースとして使うために厚すぎて固い革は適さないだろうから、そこそこの柔軟性がある1.5mmにしたよ。柔らかさを追い求めて1mmまで薄いと今度はカービングが出来なさそうな感じがしたから、1.5mmの革でチャレンジしてみよう。」
革の表面を水を含ませたスポンジで軽く濡らしてから、目打ちを用いて型紙の模様の輪郭をなぞります。こうすることで革の表面にかるく輪郭を転写します。
また、大きな革のままで作業するのは不便なので、荒裁ちとして最終的なパーツの大きさより一回り大きいサイズで切り出しておきます。
写した輪郭線に沿ってスーベルナイフで切り込みを入れます
「おっと危ない、軽く引いたつもりだけど、これ以上力を加えると下まで貫通しそうだな。」
厚さ1.5mmの革にスーベルナイフを使うのは危険そうな感触でした。
次に、刻印棒を用いて凹凸をつけて模様を浮き立たせます
作業をする前に、裏面に『伸び止めシール』の代用としてマスキングテープと養生テープを重ね張りしておきます。そして、オモテ面にスポンジを用いて水をたっぷり含ませます。
ちなみに、用いた刻印はアマゾンで買った20本セットの一部とクラフト社製の3本セットを使いました。
革の準備ができたら、革をレンガの上に置いてからメッシュのべベラ(型番:Z-B701)を用いて輪郭の外側をへこませます。
「大理石板は高価で手が出ないから、レンガで代用してみたらいい感じに打刻できたよ。」
そして、花の芯を浮き立たせるために、輪郭線に切り込みを入れます。
スーベルナイフでは底まで貫通しそうだったので、今度はデザインナイフで慎重に切り込みを入れます 。
次に、花芯を浮き立たせるために周りをフィギャー (型番:F976) でへこませます。
花弁はシーダー(型番:Z-S705)を打って表現しました
ひと通り打刻し終わったら、革にピュアホースオイルを塗ります。これで革に油分を補いつつ、汚れ防止効果と柔軟性を与えます。
「鍵を入れる部分は、淵を押したたらパカッと開いてほしいな。そのために革に多少の柔軟性を持たせられるピュアホースオイルを塗っておこう。」
ちなみに、革に油分を補給するクリームについては過去に1年かけて試したことがあって、それを以下の記事にまとめています。興味のある方は合わせてどうぞ。
関連記事>>>ヌメ革のお手入れクリーム比較~王道4種・代用品3種~
次に、染色を行います。
クラフト染料の赤色を筆につけて、余分な分をティッシュで吸わせながら20回ほど重ね塗りをします。
「筆にとってからすぐに革に塗ると、思いのほか濃くなっちゃうから、少しづつ重ね塗りして色を深くしていこう。」
クラフト染料での染色した後に、乾いたらレザーコートを塗って染料が落ちないようにコーティングします。
その次に、レザーコートが乾いたらペースト染料であるアンティックダイを塗ります。
「参考書では歯ブラシで塗ると書かれていたけど、図案が小さくてはみ出しやすそうだったから、平筆で塗ってみたよ。」
アンティックダイが乾く前に、布とアイチップで余分な分を拭き取ります。
これで、花弁などの溝にペースト染料が入り込んで図柄の陰影が強調されます。
「平筆だと、はみ出しにくい反面、歯ブラシの様に溝に刷り込むって感じにはできなくて、最終的な陰影は少しものたりないかなぁ。歯ブラシより小さくて歯ブラシのような硬いしなりがある筆があったらいいな」
最後に、もう一度レザーコートを塗ることで色移りを防ぎ、梅の花の完成です。
「蛇の目と牙」模様 をレザーカービングであしらう
次に、狗巻君の家紋である「蛇の目と牙」模様をレザーカービングであしらいます。
梅の花レザーカービングした時と同様に、水で軽く湿らせた革に型紙をおいて、模様の輪郭を目打ちでなぞって転写します。
輪郭線に切れ込みを入れます。梅の花のときにスーベルナイフを用いたら、底まで貫通しそうだったので、今回はデザインナイフを用いて切り込みを入れます。
革をレンガの上に置いてからメッシュのべベラ(型番:Z-B701)を用いて輪郭の外側をへこませます。
「目のところとか細かくて難しいな~、全部つぶすのではなく半球状にふっくらさせて可愛いいつぶらな瞳ってやつにしたいな。」
牙の周りをフィギャー (型番:F976) でへこませます。
打刻が終わったら、ピュアホースオイルを塗っておきます。
そして、つぶらな瞳をクラフト染料のこげ茶で染色します。
染料が乾いたら、レザーコートを塗って表面をコーティングします。
レザーコートが乾いたら、ペースト染料のアンティックダイを塗ります。
アンティックダイが乾ききる前に布やアイチップで余計なところを拭き取って最後に、もう一度レザーコートを塗って色移りを防止します。
鍵収納パーツを切り出す
レザーカービングで図案をあしらい終わったので、荒裁ちしていた革から鍵収納パーツを切り出します。
まずは、裏面の伸び止めシールもどきを剥がしてからひっくり返します。
そして、オモテ面に型紙を置いて型紙の輪郭を目打ちを用いてなぞって転写します。
次に、型紙に記載しておいた縫い孔の位置を革に転写するために、縫い孔印を目打ちを刺して革に転写します。
「模様を転写した際に型紙も転写しておけば楽なんだけど、打刻することで革が伸びてしまう可能性があるから、打刻した後に型紙通りに切り出すよ。」
革包丁を用いて転写した輪郭線に沿って革を切り出します。このとき革とカッター板の間にソフトカードケースを挟んでおいきます。
「ソフトカードケースがあると、革包丁の刃先をより深く沈めることができて、革が切れやすい気がするなぁ。本当はビニール板で試したいけど、高いのでソフトカードケースで代用するね。」
縫い孔をあける
型紙を転写した際につけた縫い孔の目印を頼りに、縫い孔を菱切りを用いて一つ一つ開けていきます。
ちなみに、菱切りを用いた縫い孔の開け方は以下の記事にまとめています。興味のある方は合わせてどうぞ。
関連記事>>>【レザークラフト騒音対策】菱キリを用いた縫い穴のあけ方
工程②:拡声器パーツの制作
続いて、拡声器パーツを作ります。
拡声器パーツ1と拡声器パーツ2を型紙通りに切り出して、切り出した断面にトコノールを塗って肌触りを滑らかにしておきます。これを2セット作ります。
工程③:持ち手パーツ制作
パーツ作りの最後に持ち手パーツを作ります。
型紙通りに切り出して、縫い孔をあけた持ち手パーツ2セットを接着剤(サイビノール100)を用いて貼り合わせます。
接着剤が乾いたら、組み立てるときに拡声器パーツに差し込む部分を除いた部分を糸で縫います。
その後に、拡声器パーツに差し込む部分はそぎ落として薄くしておきます。
工程④:組み立て
それではいよいよ組み立てていきます。
仮組み
まずは、最終的な組み立てのイメージを確定するためにパーツを仮組みしてみます。
「いい感じそうだね。でも片面だけでも3枚重なる部分があるから、両面をあわせて縫うときは倍の6枚に針を通さなくちゃいけないから大変そうだな。」
片面の組み立て
まずは、片面分の鍵収納パーツ、拡声器パーツ1、そして拡声器パーツ2を組み立てます。
拡声器パーツ2と鍵収納パーツを横付けした上に拡声器パーツ1を被せるように接着します。このとき縫い孔がズレないように針をさして位置合わせをしておきます。
完全に接着できたら、糸で縫っていきます。
「拡声器パーツ1は本物のスピーカーの丸みを表現したくて糸目を縞模様になるように配置して、さらに縞の間隔も中心が太くて端に行くほど細くなる様に設計したけど、縫い終わったらあまり目立たなかくて残念だな。」
両面の組み立て
次は、組み立てた片面同士の端を合体して袋状に仕上げます。
持ち手パーツを挟み込みながら、片面同士の端に接着剤を塗ります。この時も縫い孔の位置がズレない様に針を刺して位置合わせをしながら接着します。
接着剤が乾いたら糸で縫っていきます。
ここで、トラブル発生!!
「針が折れた!!」
重なっている部分に針を無理に押し込んだら、針が折れてしまいました。
仕方がないので針を交換したうえで、縫い孔を大きくするために目打ちを刺して縫い孔を広げてから、針を通すことにしました。
「やっぱり革が6枚重なっていると、針を通すのは力づくだと無理なんだな。先に縫い孔を広げる手間をかけないといけないな。」
気を取り直して拡声器部分を青い糸で縫い終えます。その次に、鍵収納部分はヌメ革の色に合わせて茶色の糸に替えて縫います。
片側の端を縫い終わったら、逆側の端同士を同じ要領で接着して縫い合わせます。
「この段階でズレたら嫌だから、面積の大きい鍵収納パーツから先に縫っておこう。」
縫い合わせた断面(コバ)をやすりで磨いてスベスベにしてから、トコノールを塗って輝かせます。
ここまでで、とりあえずキーケースの外側は完成です。
鍵紐を取り付ける
最後に、鍵を収納するためにレバーナスカンに紐を取り付けて、先ほど完成したキーケースの中に通します。
紐にレバーナスカンを括り付けます。そして、適当な長くて細い棒(ここでは筆を使用)の先端にマスキングテープで仮止めしてから、スピーカーの裾方向から口元に向かって筆を通します。
スピーカーの口元から出てきた紐を筆から取り外して、外れないようにボタンに括り付けます。
これで『スピーカー型キーケース』の完成です。
プレゼントしてみての感想
いよいよスピーカー型キーケースを友達にプレゼントしてみると、
最初はなにかピンと来ていなかったようですが、説明するととても喜んでくれていました。
いろいろ反省点はあるけど、作ってよかったです。
おしまい。最後まで読んでくれてありがとう。
スピーカー型 キーケース の型紙公開
興味のある方のために型紙を無料で公開します。
ただし、狗巻君の呪印を掲載すると著作権の侵害になるので、その部分は掲載していません。
ただし、注意点として以下の事項を守ってください。
・個人の方が趣味の範囲で使用してください。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
・型紙に5cmの縮尺を掲載してありますので、印刷後に縮尺が正しいかを確認してからご使用ください。