分割通しマチ技法を用いたウエストポーチに挑戦 ~型紙付き~

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ココ

そろそろカバン作りにも挑戦しようと思っていたから、ウエストポーチなら小さいから練習としてちょうどいいわね。

エン

がんがん縫おうぜ。


こんにちは。みどりです。

今回のレザークラフトは、スマートフォンを持ち運ぶための「ウエストポーチ」を
 
分割通しマチという技法を用いて作りました。
 
作ってみての反省点を記事にすることで、参考になれば幸いです。
 
 
 

そして、これが完成品です。
革製ウエストポーチ
内径が横16.8cm×高さ8.4cm×幅2.0cmのサイズで、
 
スマートフォンがピッタリ入るサイズです。
 
本体にベルト通しを設けて
 
本体とは独立したカラーテープで作ったベルトを通しています。
 

制作意図

以下の機能を持つように作りました。
○ スマートフォン(ドコモ社のMO-01K)だけを収納できるサイズ
「最低限の量が入るようにして、重くなりすぎないようにしたいな」
 
○ 背面は3分割させる
「負荷のかかるベルト通し部分が壊れた場合に、壊れた部分を交換出来るようにしたいな」
 
○ ベルトと本体はそれぞれ独立させる
「ベルトは気分にあわせて着まわせるように、本体とは分けたいな」
 
 
また、レザークラフトの技法の実験として、以下のことも試みました。
 
 マチ部分を「分割通しマチ」という方法でつくる
「参考書(レザークラフト技法事典Ⅱ)に紹介されていた「分割通しマチ」という技法を用いて、
 
マチをそれぞれのパーツで作ることで、大きな革を用意しなくてもいいようにしたいな」

反省

実際に作ってみて、以下のような反省点がありました。
 
○ 背面を3分割したけど、分割させなくてもよかったかも。
 
「ベルト通し付近が壊れた場合に備えて3分割させたけど、
 
コバを磨いて一体化させているので、交換した場合には再度コバを磨くことになると予想されるけど、
 
一度はがしたコバを再び一体化できるかは疑問だな」
 
 
 
○ マチの折り返し部分がきれいではない
 
「参考書のようにきれいに折り目をつけることができなかったな」
 
「革の端を漉くときに十分な薄さまで漉いていないからだろうか」
 
 
 
○ ファスナーと本体の間に「天マチ」を設けたのがうまくいった。
 
「本体だけだと正面パーツがたわんでしまって取り出し口が狭くなってしまうが、
 
天マチを設けることで、たわむのを防ぐことができた。」
 

前準備

型紙つくり

以下のようなA4サイズ2枚分の型紙をお絵かきソフトのGIMPで作りました。
 
記事の最後にPDFを保存できるボタンを設けていますので興味のある方はどうぞ。
ウエストポーチ 型紙1
 
ウエストポーチ 型紙2
 

構造の説明

作り方を詳しく紹介する前に、イラストを用いて構造を簡単に説明します。
 
ウエストポーチの構造
このウエストポーチは以下の4つのパーツで出来ています
 
①マチパーツ
2個の横マチと底部の底マチで構成されます。
 
②上部パーツ
2個の天マチ、ファスナー、ファスナーの端止め用の革で構成されます。
 
③背面パーツ
体に密着する側は3枚の革と、2個のベルト通しで構成されます。
 
④正面パーツ
1枚の革で構成されます。
 
 

制作過程

ここから製作の様子を紹介していきます。
 

パーツ準備

それぞれのパーツとなる部品を以下の要領で作っていきます。

型紙を革に転写

コピー用紙に印刷した型紙を革の上に置きます。
 
型紙の端を目打ちでなぞって革に傷を付けることで、
 
型紙の輪郭を革に転写します。
 
また、型紙に記載してある縫い穴の位置も目打ちで刺すことで型紙に転写します。
型紙を転写
ちなみに、型紙を転写する際に、楽をしたいので磁石を用いています
その方法は以下の記事にまとめましたので、興味のある方はあわせてどうぞ。
 
 

革に縫い穴をあける

革に転写した縫い穴の位置を菱キリで刺します
 
このようにすることで、音をだすことなく縫い穴をあけます。
縫い穴をあける
菱キリを使って穴をあける方法は以下の記事にまとめましたので、興味のある方はあわせてどうぞ。
 

マチパーツの製作

横マチと底マチは「分割通しマチ」技法で製作するので、
 
最終的には写真のように合体させます。
マチつくり

横マチつくり

型紙の通りに切り出した横マチの下側は
 
底マチと合体させるための「よりしろ」にするための7mmの切込みを2本入れます
 
そのために、切り込みの目印を目打ちを押し付けることで革に写します。
横マチつくり1
 
切り込みの目印にあわせて、革包丁で切り込みを入れます。
横マチつくり2
ちなみに今回使用した革包丁はアシェット社の隔週誌付録の革包丁を研いで使用しました。
 
使い心地は以下の記事にまとめましたので、興味のある方はあわせてどうぞ。
 
 
 
横マチの両端は谷折りに、下側は谷折りに折り返すので、
 
革の裏面に端から7mm位置にそれぞれ目打ちで印をつけます。
 
上端は折り返さないので、コバを磨いておきます。
横マチつくり3
 
横マチの両端と下側は折り返すために、7mmの目印位置までを薄く漉きます
横マチつくり4
 
以下の写真は漉き終えた状態です。
横マチつくり5
 
 
革の表面の端から7mm位置にモデラを強く押し付けることで、
 
折り返すための折り目を革につけます
 
(ちなみに、わたしはモデラを持っていないので100円グッズのネイル用品で代用しました。)
横マチつくり6
 
 
横マチの下側は底マチに接着するので、
 
ドレッサーを用いて山折にした表面を荒らすことで接着剤の効果を高めます。
横マチつくり8
 

底マチつくり

底マチも折り返すために端7mmを薄く漉きます。
 
その後、正面パーツと背面パーツに合体させる部分は谷折りに、
 
両端部分は谷折りにします。
底マチつくり1
 
底マチの両端は山折りにして、接着剤(サイビノール100)で裏側に貼り付けます。
横マチつくり7
 
正面パーツと背面パーツに合体させる部分は、
 
接合部分をドレッサーで荒らしておきます。
 
さらに、接着剤が付いて欲しくない部分はマスキングテープ(写真の黄色テープ)を貼ります。
底マチつくり2
 
 

横マチと底マチの合体

横マチと底マチを合体させます。
 
横マチの下側のオモテ面底マチの両端の裏面に接着剤を塗ります。
マチの合体1
 
ローラーで強く押し付けて、しっかりと接着させます。
マチの合体2
 
横マチのオモテ面から菱キリを刺して、縫い穴をあけます。
マチの合体3
 
最後に糸で縫って、横マチと底マチを合体させます。
マチの合体4
 
反対側も同様に合体させて、マチパーツの完成です。
 
 
 

上部パーツの製作

スマホの取り出し口となる上部パーツを製作します。
 

天マチの製作

はじめに、ファスナーを取り付ける天マチを作ります。
 
 
天マチは、取り出し口に取り付けたときに直角に折れ曲がって欲しいので、
 
切り出した天マチ部品の中央に折れ目となる溝を掘ります
 
ちなみに、溝を掘るために使用した道具は、彫刻刀の一種の三角刀です。
天マチつくり1
 
折れ目をつけた次には、
 
本体や、ファスナーと接着する部分はドレッサーで接着面を荒らします。
天マチつくり3
 

ファスナーのとりつけ

天マチにファスナーを取り付けます。
 
まずは、ファスナーの端を三角に折りたたんで接着剤で固定します
ファスナー取り付け1
 
 
ファスナーの反対側の端は、接着剤をつけて
 
端止め用の革で包みます
ファスナー取り付け2
 
 
そして、写真のようにファスナーに天マチと端止めの革を糸で縫い付けます。
ファスナー取り付け3
 
 

背面パーツの製作

背面パーツを4つの部品(上部、中部、ベルト通し、下部)を組み合わせて作ります。
 
 
 
まずは、部品の下準備をします。
 
上部、中部、下部部品のうち組み合わせるときに、重なる部分を薄く漉きます
背面つくり2
 
そして、接着剤を塗る部分はドレッサーで接着面を荒らします。
背面つくり4
 
次に、コバとなる部分の端はヘリを落とします
 
ちなみに私はヘリ落としの道具として
 
100円グッズのネイルケア用品を用いています。
背面つくり3
 
ヘリを落としたら、コバを磨きます。
 
エタノール溶液を塗って乾いた後にやすりで削ることを繰り返して
 
満足いく滑らかさになったら、トコノールを塗ってから磨いています。
背面つくり6

わたしのコバ磨きの方法は以下の記事にまとめましたので、興味のある方はあわせてどうぞ。

 
 
 
ベルト通し部品を中部部品に縫いつけます。
 
「ベルト通しの取り付け位置は、体の真横にも置けるようにあえて狭めにしておこう。」
背面つくり1
 
上部、中部、下部部品を接着剤で固定した後に糸で縫い付けます。
 
縫い終わったら、目打ちの柄で糸を押し付けて、糸の出っ張りをなくします。
背面つくり7
 
これで背面パーツの完成です。
 
このあと、各パーツを合体させていきます。
 
 

上部パーツと背面パーツの合体

背面パーツの裏側天マチの表側を接着剤で固定した後に、
 
糸で縫い付けます。
背面つくり8
 

マチパーツと背面パーツの合体

マチパーツの裏側背面パーツの裏側を中合わせにして
 
クリップで仮留めしながら位置合わせを行います。
胴とマチの合体1
 
マチパーツと背面パーツの端に接着剤を塗って固定します。
胴とマチの合体2
 
糸で縫います。
 
この際、横マチから反対の横マチまでと一気に縫わないで、一側面ずつに分けて縫いました
 
「使用していく中で、ベルト通し周辺が壊れた場合には、
 
背面(中部)部品を交換出来るようにしておきたいから、
 
そのときに糸を取り外しやすいように、手間がかかるけどあえて側面ずつに分けて縫おう。」
胴とマチの合体3
 
マチパーツと背面パーツを合体させおわったときの様子です。
胴とマチの合体4
 

正面パーツの取り付け

正面パーツとマチパーツを合体させます。
 
「合体させ終わったら、正面パーツがたわんで、取り出し口が狭くなってしまった。」
胴とマチの合体5
 
 
正面パーツに天マチを合体させます。
 
「おっ、天マチをとりつけたら、正面パーツのたわみ具合が小さくなったよ。ラッキー。」
胴とマチの合体5
 
これで、ウエストポーチ本体の組み立ては完成です。
 
 

仕上げ

仕上げに、全体のコバを整えます。
 
コバの断面をドレッサーとやすりで削ります。
 
「削りカスが飛び散らないように、紙袋の中に落とすように作業したよ。」
仕上げ1
 
最後にトコノールを塗って磨きます。
仕上げ2
 
これで本体の完成です。
 
 

ベルトつくり

100円グッズの幅25mmカラーテープと、25mmバックル、そしてベルト送りを使ってベルトをつくります。
 
 
まずは、バックル(メス)にカラーテープ4cm程を通して、
 
折り返した端を糸で縫いつけます。
ベルトつくり1
 
カラーテープの反対側は、
 
ベルト送りを通します。
 
その後にバックル(オス)にテープを通します。
ベルトつくり2
 
 
取り付ける際の注意として、
 
バックルにはオモテ面と裏面(体に密着する側)があることに気をつけます。
 
テープを通す部分の中央部分がギザギザしているほうがオモテ面であり、
 
このギザギザ部分にテープの折り返し部分(わ)が接触するようにテープを通します
 
 
 
正しくバックルにテープを通すと、ベルトの長さ調節がバックルでできるようになります。
 
「バックルの取り付け方を調べる以前は、バックルのウラオモテを反対に使っていたから、
 
テープが滑ってしまって、全然バックルのアジャスター機能を活かせていなかったよ。」
バックルの表側
 
 
作ったベルトをウエストポーチにベルトを取り付けて、完成です。
ウエストポーチ
 
 
 

使用してみての感想

実際につかってみると、
 ○ 着けてみると、一般的なナイロン製のウエストポーチよりオシャレな感じがして満足だわ。
 
いろいろ反省点はあるけど、作ってよかったです。
 
 
おしまい。最後まで読んでくれてありがとう。
 

型紙公開

 
興味のある方のために型紙を無料で公開します。
 
ただし、注意点として以下の事項を守ってください。
・個人の方が趣味の範囲で使用してください。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
・型紙に5cmの縮尺を掲載してありますので、印刷後に縮尺が正しいかを確認してからご使用ください。

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