革製ポケットティッシュケースの作り方 ~型紙付き~
目次
レザークラフトでポケットティッシュケースを作りたい
姉の誕生日プレゼントは何にしようかな?
ポケットティッシュケースはどうかしら?カバンの数だけあってもいいものだし。
よし、レザークラフターの出番だぜ。
こんにちは。みどりです。
今回のレザークラフトではファスナーポケットのポケットティッシュのケースを作りました。
作ってみての反省点を記事にすることで、参考になれば幸いです。
これが完成品です。
今回は姉の誕生日プレゼント用として作ったので、姉の好きなピンク色の牛革を用いました。
表側の開口部では重なる部分の一方がフタとなる様に長さを変えています。
そして、裏側では、ティッシュを入れられるように片マチのファスナーポケットにしました。
ついでに、伸縮リールストラップを取り付けられるようにD環もつけました。
「あれこれと機能を欲張ったおかげで制作難易度はハネ上がったよ。ティッシュケースだからすぐ作れると思ったのに。」
制作意図
反省
前準備
革で作り始める前に、型紙つくりを行います。
型紙つくり
最初はフラップ型の蓋にしようとしていましたが、フェルトで試作品を作ってみるとあまりいい感じがしなかったです。
「なんか、イメージしていたより大きいなぁ。それに蓋が邪魔そうだし。設計案を変更しよう。」
裏側のファスナーポケットも、ただファスナーをつけただけだとティッシュを入れることができませんでした。
「あれ、スムーズに入らない!押し込めば入るけど、それだったら前から入れるのと大差ないしな。」
ファスナー横に切れ込みをいれるとティッシュを入れることができました。
「えい、切れ込みをいれちゃえ。これならティッシュが入るよ。こういう形を片マチっていうんだってさ。」
ファスナーの位置やマチの形などをいろいろ変えてみて、今の型紙にしました。
「ちなみに、ファスナーを斜めにつける案も試したけど、ティッシュを入れることができなかったわ。」
構造の説明
制作過程の紹介の前に簡単に構造を説明します。
ティッシュ収納部 :本体の両端を四分の一ずつ折り、中央で縫い合わせます。
ティッシュ取り出し口:本体中央のL字形切り込みにファスナーと片マチを取り付けます。
ストラップ取り付け部:L字切れ込みの下にD環を取り付けます。
制作の様子
それでは、制作過程を紹介していきます。
パーツ制作
まずはパーツを制作していきます。
トコ面処理
革の裏面にトコノールを塗って、毛羽立ちをなくします。
型紙転写
革のオモテ面に型紙を置いて、磁石で固定します。
そして、型紙の輪郭を目打ちでなぞることで型紙を革に写します。
このとき、縫い穴の目印も目打ちで刺すことで、革に写します。
関連記事>>>楽に型紙を革に転写するレザークラフトの方法
革の裁断
転写した型紙の輪郭に沿って、革包丁で革をカットします。
革砥については以下の記事にまとめましたので、興味のある方はあわせてどうぞ。
ファスナー取りつけ位置のカーブ部分は8mmポンチで革を抜いて曲線を出します。
L字形 切り込みの終点は2mmポンチでくりぬきます。
「紙で試行錯誤しているときに、この部分が裂けやすかったんだよね。直角より丸みを持たせてあげたら、力が逃げやすくなるんじゃないかなぁ。」
縫い穴は菱切りで刺して平行四辺形の穴を開けます。
関連記事>>>【レザークラフト騒音対策】菱キリを用いた縫い穴のあけ方
パーツの下準備
作ったパーツを組み立てる前に、下準備をします。
まずは、ファスナーを取り付ける窓部分の革の毛羽立ちを抑えるために、トコノールを塗ります。
次に、マチに折り目を付けます。
折り目に水をつけて湿らせます。折った状態で乾かすとそのまま折り目が固定されます。
「設計上の注意点として、中央で等分に折るのではなく縫い穴の位置が合うようにポケット側が短くなるように折る必要があるよ。」
D環を取り付ける革も同様に水をつけてから乾かして、折り目を付けます。
ファスナーの取り付け
ファスナーを切り込み窓に取り付けます。
長さ調整
用意した12cmのファスナーでは少し長いので、長さを短くする必要があります。
切り込みにファスナーを仮置きしてみて、必要な長さの位置にマスキングテープで目印を書き込みます。
「後で気づいたけど、この長さだとまだ長かったわ。もう少し短くすればよかった。」
つけた目印の位置までのエレメント(務歯)を抜いてファスナーを短くします。
関連記事>>>引っ張らずにファスナーの長さを短くする方法
ファスナーの4つの端は三角形に折って、接着剤(サイビノール100)で固定します。
そのあとに余分な生地部分はハサミでカットします。
接着
ファスナーを接着剤(サイビノール100)で革にくっつけます。
しかし、開閉部分には接着剤がついてほしくないので、ついてほしくない部分にはマスキングテープを貼っておきます。
ファスナーのオモテ側の生地部分に接着剤を塗ります。
塗り終わったら、マスキングテープは取り外します。
そして、ファスナーの上に革をかぶせて、その上から押して圧着することで、革とファスナーを接着させます。
縫い付け
ファスナーの周りを蝋引きした麻糸で縫い付けていきます。
縫い始めは、ファスナーを閉じたときのスライダー側から縫っていきます。
下止めまで縫い付けたら、D環を取り付けます。
ドレッサーを用いて D環を挟んだ革の両面を荒らした後に、接着剤を塗って革に貼り付けます。
「今思えば、D環を接着するのはファスナーを取り付ける前でもよかったなぁ。」
D環を固定する革を縫い付けます。
「D環には力がかかるから、いつもはしっかりとした固定のために2重縫いするのだけど、この段階では1回縫うのに留めておこう。この後の工程で、本体の両端を縫うときにD環部分は再度縫うことになるよ。」
一周縫ってスライダー側まで戻ったときに、トラブルを発見。
「あれ、ファスナーの生地が長いかも。このままマチを縫い付けようとすると、ファスナーの端が飛び出るなぁ。」
見栄えをよくするためには、仕方ないけどファスナーのエレメント(務歯)を一つ抜いてから、
生地を短く折り直しました。
片マチの取り付け
ファスナーを縫い終わったら、糸を一時そのままにして次はマチを取り付けます。
中表状態で折ったマチのうち、本体に接着する部分をドレッサーを用いて荒らします。
荒らした部分に接着剤を塗って、本体に接着させます。
接着剤が乾いたら、一時中断していた糸を用いてマチを縫い付けます。
「ファスナーの長さを修正したおかげでマチがスッキリできたなぁ。」
本体の組み立て
いよいよ本体を組み立てていきます。
まずは、本体の両端を折ります。
折り目に水をつけて折り、乾くまでクリップで固定します。
「オモテ側にクリップの跡が残ると嫌なので、クリップの間に布を挟んで固定しよう。」
折り目がついたら、 縫い目の内側部分をドレッサーを用いて荒らしてから、接着剤を塗ってくっつけます。
本体の上部と下部をそれぞれ縫って袋状にします。
このときD環部分も挟み込んで縫います。
形を整える
最後に体裁を整えていきます。
まずは、肌触りをよくするために、糸目を目打ちの柄で押して出っ張ている糸をつぶします。
次に、縫い合わせた面を整えます。
ドレッサーとやすりで断面を滑らかにした後、トコノールを縫ってコバを磨きます。
そして、ティッシュを裏のファスナーポケットから入れて完成です。
使用してみての感想
型紙公開
興味のある方のために型紙を無料で公開します。
ただし、注意点として以下の事項を守ってください。
・個人の方が趣味の範囲で使用してください。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
・型紙に5cmの縮尺を掲載してありますので、印刷後に縮尺が正しいかを確認してからご使用ください。