ガラスペン用の革製ペン立ての作り方~型紙公開~
ガラスペンを立てて飾りたい

小樽でガラスペンを買ったの。一目惚れだったよ。

早速、立てて飾れるようなペン立てを探しましょう。

探しても無かったぜ。無いなら作ってしまおうぜ。
こんにちは。みどりです。
今回はガラスペンを立てて飾るためのペン立てを作りました。
10月に友人達と小樽に遊びに行ってガラスペンを買いました。
立てて飾ったらガラスペンが光を浴びて綺麗だろうなと思ってペン立てを探したのですが、見つからなかったです。そこで、レザークラフトで作ることにしました。作ったときの反省点を記事にすることで、参考になれば幸いです。
これが完成品です。
ガラスペンを上下2点で支えて60度くらいの角度で立てて飾れます。遊び心で全体はクジラの形にしてみました。
それと、ペン先がぶつかって割れるのを防ぐために、ペン先は宙に浮かせるようにしました。

ガラスペンの美しいペン先も眺められるように、横に窓を設けています。

レザークラフトとしては、斜め上から見てもらうとわかりやすいと思いますが、
革を直角に組み合わせて縫う「拝み合わせ縫い」という技法で作っています。


ちなみに、拝み合わせ縫いを行うためにはよく切れる刃物が必要です。

関連記事>>>革包丁を研いだら切れなくなった原因を考える
ガラスペンとは
そもそも、ガラスペンをご存知でしょうか。
私は友人に紹介されて初めて知りました。
イメージとしては、「ガラスでできた万年筆」です。

その特徴は、
○ ペン先にインクをつけて書く
○ インクが切れたら、再度インクをつける
○ 使い終わったら、ペン先を水に浸して洗う
○ 下手に扱うと割れる
○ 割れる心配をしながら使用する
○ 割れるから持ち運びには適さない
「え?デメリットばかりに思えるよ。」
「いえいえ、このデメリットを払拭するメリットがあるんです。」
それは、
ただひたすらに、美しい
「美しい道具を使って文字や絵を描いている瞬間は、非常に気分が上がってワクワクします。まさに豊かな時間ってやつです。」
「割れる心配もあるので、書き始めから書き終わりまで気が抜けず、高い集中力で没入できます。」

ほかにも、利点はあります。
インクは水ですぐに落ちるので、書いている途中で別の色にしたいなぁって時でも簡単に切り替えられます。
「万年筆のようにカートリッジを取り換えなくていいので便利だよ。」
水で洗った後はティシュで水気を拭き取れば、すぐに次のインクを使えます。

実際に使ってみました。絵心はないので見本と下絵を用いてクリスマスカードを作ってみました。
「お、なんかカリカリした書き心地がする。紙の感触がダイレクトに手に届く感じ。一瞬一瞬が楽しいな。」
ちなみに、友人曰く、ガラスペンは1本1本書き味が異なるそうで、サラサラの書き味のものもあるそうです。

制作意図
レザークラフトの技法の試み
反省
○ 拝み合わせ縫いで曲線も縫うことができた
○ カーブ部分で縫い穴の位置がズレてきて、帳尻を合わすためには縫い目を途切れさせてしまった。
「等間隔に穴を開けたら、急なカーブ部分はズレてきてダメだった。間隔を短くするなどの設計段階で調節が必要だな」
「ヌメ革って汚れが付いたら、落ちないんだね...次からは気をつけないと」
前準備
型紙つくり
ガラスペンに魅せられてから早速、ペン立ての型紙つくりを始めました。
ペン立てを作るにあたって、手持ちのガラスペンの特性を把握します。
まずは、ペン先近くで一番太い部分の直前にある「くびれ部分」の直径を測ります。この部分をペン立てにひっかけることでペン先を宙に浮かせようと思います。
「7~8mmあれば、ひっかけることができそうだな」

次に、重心が何処にあるのかを手っ取り早く2本の指で探ります。
(重心:大雑把に言うと物体の重さの中心のことで、その点を支えると全体を支えることができる点のこと )
「指にペンの両端を乗せてから、指を近づけていくだけで、不思議なことに指が勝手にペンの重心位置で止まるから便利な方法だなぁ」

簡易的に調べた結果、全長17cmのこのペンの重心はペン先から6cmほどのところにありました。

重心位置にマスキングテープを貼ってから写真に撮って、お絵描きソフトのGimpに取り込みます。
ペンは60度くらいに立てて飾りたいので、取り込んだ写真を回転させます。
そして、重心位置に垂直に線を引きます。この垂線を重心線と考えてペン立てを作っていきます。

高校のときに習った物理のおぼろげな記憶を頼りに、ペン立ての外観を考えていきます。
「ガラスペンの重心線とペン立ての重心線が重なれば倒れないでしょ...多分。(物理苦手だったし...ゴニョゴニョ)」
先ほどのガラスペンの重心線を頼りに、 革の範囲が線の左右で同じ数になる様に緑色のブロックを配置していきます。

作った型紙をもとにコピー用紙で組み立てた試作品1号です。
「可愛くないけど、なんとなくクジラっぽく見えるなぁ。よし、クジラフォルムで作ろう。」

よりクジラっぽくして、幅とかもいろいろ変えて作った試作品たちです。
型紙が本決まりしたら、革で作り始める前に、フェルトで作ってみて厚みの感じを確かめます。
「フェルトだからフニャフニャだけど、革で作ったら大丈夫そうな感じがするから、この型紙でつくろう。」

構造の説明
型紙が決まったので、ペン立ての構造をイラストで紹介します。

このペン立ては厚さ2mmのヌメ革で作ります。上から順に、
○ 尾びれパーツ
○ 頭部パーツ
○ 底面パーツ (2枚貼り合わせ)
そして、
○ 側面パーツ( 2枚貼り合わせ )
○ 背面パーツ
でできています。
ガラスペンの重さがかかる頭部パーツを支えるために、
側面パーツと底面パーツは2枚の革を貼り合わせてあります。
そして、それぞれのパーツの接合部分を斜めにカットして拝み合わせ縫いで縫い合わせます。
制作の様子
それでは、制作過程を紹介します。
部品制作
まずは、部品を作っていきます。
最初に、コピー用紙に印刷した型紙を切り出します。
この時に、頭部パーツと尾びれパーツの円の部分は切り抜かないようにします。
この円は8mmポンチで革を抜こうと計画しているため、その円の中心が分かる様にするためです。

次に、型紙の輪郭を革に転写します。
切り出した型紙を革のオモテ面の上に置きます。
このとき、革をマグネットシートの上に置いておくことで、型紙の上から磁石を置けば型紙と革を固定できます。
型紙の輪郭を目打ちでなぞることで、型紙を革に転写します。


関連記事>>>楽に型紙を革に転写するレザークラフトの方法
型紙を革に転写する際に、縫い穴の目印も目打ちで刺すことで縫い穴位置も革に転写します。

そして、転写した輪郭線に沿って革包丁で革を裁断します。
このとき、尾びれ部分は一度ではうまく曲線を裁断できないので、短い直線で角度を変えながら裁断していきます。

裁断が終わったら、縫い穴を開けます。
革をコルクボードの上に移します。
目打ちを刺してをつけた縫い穴位置を今度は「菱切り」で刺して、平行四辺形の縫い穴を開けます。